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3章 12人の思惟

8話 ちょっとだけウキウキ

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それは、式神だからなのかも知れないが、

瞬きをして、再び目を開けた時には、

消えていそうな静かで丁寧な口調で、

会璃は言った。

 

「皆様に、お見せしたいものがあります」 


その静かで上品な口調に、

ニッキ―の心は清められたが、

すぐ隣で裸族のすっぽん思惟が、

腰を軽く振り、腰のコテカが、軽く揺れ、

それがニッキーの腰につんつん当たってた。

すぐにニッキ―の心は、自己嫌悪に覆われた。


「変態」

ニッキ―の言葉に、

すっぽんは「えへっ」と嬉しそうに笑った。

 

かまってちゃんが、かまってもらえた時の表情だ。


思惟オリジナルの頃、

心の中に、常にかまってちゃん衝動があった。

もっとみんなにかまって欲しかった。

でも、その衝動は強く抑圧されていた。


思惟オリジナルの自信の無さと、

性格によるものだった。


しかし、目の前のすっぽん思惟は、

その強い抑圧が全くなかったのように、

かまってちゃん衝動を解放していた。


ニッキ―はちょっとだけウキウキした。


エレベーターホールを抜けると、

格納庫の様な部屋に案内された。


部屋の中には、

マネキンのような物が並んでいた。


「違う、これは・・・・」


「使鬼です。姫さまが乗っていたのは特別な物ですが、

こちらは量産型の使鬼です」


使鬼の胸部コックピットは開いていた。

多分、妖精が乗って操る為の物だろう。


そして、使鬼の顔は、

地上の人間と見分けがつかない程似ていた。

実際に動いていたら区別はつかないかも知れない。



「ねえ、ねえ、この人見たことない?」

汎都(パント)の視線の先の、動きを止めた使鬼は、

確かに、どこかで見た事があった。


「あっ・・・前の市長だ!」

すっぽんは、叫んだ。


「ホントだ!」


「こっちのは、やくざの組長じゃない!昔、旅館に泊りに来てた」


「マジだ・・・」


「どういう事です?」


「そう言う事です。」


思惟たちの問いに、会璃は答えた。


そう言う事なのだろう・・・







つづく
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