思惟ちゃんと式神的な巨大ロボット

３章 １２人の思惟

１話 外から来た客

「中野綾香さまですね。」


仮女将の継母が、手が離せなかったので、

あみ（思惟）が代わりにフロントの対応した。


初めての見たことのない客だった。

この街に宿泊施設は、この旅館しかない。

封鎖事件以来、街の外から客が来た事はない。


街の人を全員知っている訳ではないが、

多分、街の人じゃない・・・。


結界で封鎖されている街に、どうやって？


年齢は、２０代前半、

理系の大学を卒業したばかりで、

真面目すぎて、面白味のないタイプって感じだ。

小奇麗にはしているが、

お洒落とは言えない服装だ。


何しに来たんだろう？


中野綾香は、あみと視線を合わせた。

嫌な感じはしない。


「中学生？」


「いえ高校生です」


「そう。お手伝いなんて、エロいね・・違う！偉いね。」


中野綾香は、明らかに言い間違いをした。

それもかなり恥ずかしい奴を・・・。


さらに不味い事に、『エロいね』の言葉に、

あみが反応して、ちょっと顔を赤らめてしまった。

自分のエロさを、見抜かれた！と思ってしまったのだ。


中野綾香は、顔を赤らめながらも、平静を装った。

あみも、顔を赤らめながら、平静を装った。


「待つ宵（よい）の間ですね。ご案内します。」

あみと中野綾香は、顔を赤らめたまま、エレベータに向かった。

 



つづく