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15 かぐわしき章
エマ伯爵夫人の逆襲!
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俺は自称天才漫画家(誰にも言われた事はないが)
最近、ネットで上げた漫画が収益化し始めた♪
でも、時給換算すると、5円未満と言う悲劇的な事は考えないとする。
そんなある日、夕方に駅前のかつ丼屋を出たところで、俺はピンクのジャージを来た女子大生に呼び止められた。
その格好から、この近所にある大学の女子寮の子だと言う事は、すぐわかった。
ノーメイクで寝癖が残る、その女子大生は、
「あなた、赤毛の狼でしょう」
と殺気すら感じる目つきで彼女は言った。
赤毛の狼!!!!!
俺のネットでの漫画家名だ。
ネット内で言われるならまだしも、人通りの多い駅前で言われるとかなり恥ずかしい。
その女子大生の険しい目つきに、
「とりあえず、落ち着こう」
と俺は彼女を、シェアアトリエに誘った。
シェアアトリエに向かう途中、俺は彼女に関する記憶を辿った。
この学校が乱立する学生街に住んでる以上、見かけたことはあるかもしれないが、
それ以上は思いつかなかった。
【赤毛の狼】の名前を知っている以上、ネットで知り合った人間か?
しかし、顔も本名も公表していない以上、俺が【赤毛の狼】であることを特定できないはず。
歩きながら彼女は
「やっぱりあのかつ丼屋に現れた。書いてあった通りね」
と言った。
確かにかつ丼屋の事は、写真入りで色んな所で何度も書いた。
SNSからたどったのか!俺は思い返した。
幾つかのSNSから俺自身に、たどれないことは無い。
カツ丼屋を張り込み、自慢したTシャツを着て、自慢したショルダーバックを持った男を捜せば、俺に行き着く・・・しかし、そこまで努力をして、俺を探し出して何の意味がある?
シェアアトリエに入ると彼女は突然
「赤毛の狼!覚悟!」
と言って刃物を振りかざして襲い掛かってきた。
俺はとっさに自慢のバックで刃物を防ぎ、刃物を奪い取った。
しまった!お気に入りのショルダーバックが!!!!!
俺はショルダーバクを肩からはずし、損害に確認した。
うろたえた俺は
「何で?何で?」
と叫んだ。
「レンを殺しておきながら、よくもカツ丼なんか食ってられるわね!」
レン?レン?レン?
あっ!俺の漫画のキャラクター
俺は変態女に向かって、
「漫画の話だろ!ふぜけんな!現実と漫画の区別ぐらいちゃんと付けろよ!」
と諭すように言った。
こういう現実とフィクションの区別のつかない奴は、大嫌いだ!
世界がおかしくなったのだろう。
変態女は泣きながら、
「わたしがレンの事、好きだって事知ってたくせに!」
「誰だよ、お前?」
「エマ伯爵夫人よ!」
その名前を聞いた時、俺は怒りに手が震えた。
エマ伯爵夫人!?
寝癖ありのピンクのジャージなのは、伯爵夫人のイメージからかなり逸脱はしているが、俺が唯一天才と認める絵師にして、今読んでるネットの漫画の作家だ。
そして、漫画内で俺の愛しのレイアを殺した張本人だ。
「よくも俺のレイアを殺してくれたな!」
俺は刃物で襲い掛かった。
彼女は俺の自慢のバックで、素早く刃物を防いだ。
えええええええええ!
俺のお気に入りのショルダーバックがズタズタに!!!!
俺は涙を流しながら叫んだ!
「あんないい人を殺して、お前はよく生きていられるな!俺のレイアを返せ!」
「2次元と3次元の区別もつかないの、馬鹿じゃない!」
「2次元だろうが3次元だろうが、殺人は殺人だろうが!」
俺とエマ伯爵夫人は、シェアアトリエ内で激しく戦いを繰り広げた。
そう、俺は!
レイアの仇を打たねばならない!
でも時間の経過とともに、俺とエマ伯爵夫人は冷静さを取り戻して行った。
それはそうだろう。幾らなんでも、いつまでも熱狂は続くはずはないのだ。
☆彡
静まり返ったシェアアトリエには一晩中、誰も来なかった。
だから俺とエマ伯爵夫人は、一晩中、レンとレイアの死を嘆き、お互いの漫画を罵ったり絶賛したりした。
こんなにも自分の漫画を熟読している人に実際に会うのは初めてだったし、こんなにも感情移入してくれる人に会うのも初めてだった。
そこは嬉しかったんだと思う。
話してみて気づいたのは、お互いの欠点を補い合えば、上手く行くんじゃない?ってこと。
夜が明ける頃、俺は告げた。
「俺と一緒に夢を追わないか?」
「夢を追う?」
「漫画家としてコンビを組まないか?」
「コンビ?」
「死んだレンやレイアの為にも(なんのこっちゃ!←冷めた赤毛の狼の思考)」
「それが生き残ったわたしたちの使命だと(なんのこっちゃ!←冷めたエマ伯爵夫人の思考)」
「俺たちが組むことを、レンとレイアは望んでいたはず(なんのこっちゃ!)」
「お互いの欠点を補完し合えると?あなたアホなの?」
「もしエマ伯爵夫人の事を天才だと思った俺がアホなら、アホなのだろう」
☆彡
そして俺らは、2人で夢を追い始めた。
漫画を描けることはしあわせだが。やはり収益は欲しい。
俺とエマ伯爵夫人の欠点を補い合った結果、収益は足し算ではなく、掛け算の様に増えていった。
エマ伯爵夫人と、いつまで一緒にいるかは解らないけど、とりあえず収益の結果に、二人でにやけ、その後に続く未来に希望を持つことが出来た。
完
最近、ネットで上げた漫画が収益化し始めた♪
でも、時給換算すると、5円未満と言う悲劇的な事は考えないとする。
そんなある日、夕方に駅前のかつ丼屋を出たところで、俺はピンクのジャージを来た女子大生に呼び止められた。
その格好から、この近所にある大学の女子寮の子だと言う事は、すぐわかった。
ノーメイクで寝癖が残る、その女子大生は、
「あなた、赤毛の狼でしょう」
と殺気すら感じる目つきで彼女は言った。
赤毛の狼!!!!!
俺のネットでの漫画家名だ。
ネット内で言われるならまだしも、人通りの多い駅前で言われるとかなり恥ずかしい。
その女子大生の険しい目つきに、
「とりあえず、落ち着こう」
と俺は彼女を、シェアアトリエに誘った。
シェアアトリエに向かう途中、俺は彼女に関する記憶を辿った。
この学校が乱立する学生街に住んでる以上、見かけたことはあるかもしれないが、
それ以上は思いつかなかった。
【赤毛の狼】の名前を知っている以上、ネットで知り合った人間か?
しかし、顔も本名も公表していない以上、俺が【赤毛の狼】であることを特定できないはず。
歩きながら彼女は
「やっぱりあのかつ丼屋に現れた。書いてあった通りね」
と言った。
確かにかつ丼屋の事は、写真入りで色んな所で何度も書いた。
SNSからたどったのか!俺は思い返した。
幾つかのSNSから俺自身に、たどれないことは無い。
カツ丼屋を張り込み、自慢したTシャツを着て、自慢したショルダーバックを持った男を捜せば、俺に行き着く・・・しかし、そこまで努力をして、俺を探し出して何の意味がある?
シェアアトリエに入ると彼女は突然
「赤毛の狼!覚悟!」
と言って刃物を振りかざして襲い掛かってきた。
俺はとっさに自慢のバックで刃物を防ぎ、刃物を奪い取った。
しまった!お気に入りのショルダーバックが!!!!!
俺はショルダーバクを肩からはずし、損害に確認した。
うろたえた俺は
「何で?何で?」
と叫んだ。
「レンを殺しておきながら、よくもカツ丼なんか食ってられるわね!」
レン?レン?レン?
あっ!俺の漫画のキャラクター
俺は変態女に向かって、
「漫画の話だろ!ふぜけんな!現実と漫画の区別ぐらいちゃんと付けろよ!」
と諭すように言った。
こういう現実とフィクションの区別のつかない奴は、大嫌いだ!
世界がおかしくなったのだろう。
変態女は泣きながら、
「わたしがレンの事、好きだって事知ってたくせに!」
「誰だよ、お前?」
「エマ伯爵夫人よ!」
その名前を聞いた時、俺は怒りに手が震えた。
エマ伯爵夫人!?
寝癖ありのピンクのジャージなのは、伯爵夫人のイメージからかなり逸脱はしているが、俺が唯一天才と認める絵師にして、今読んでるネットの漫画の作家だ。
そして、漫画内で俺の愛しのレイアを殺した張本人だ。
「よくも俺のレイアを殺してくれたな!」
俺は刃物で襲い掛かった。
彼女は俺の自慢のバックで、素早く刃物を防いだ。
えええええええええ!
俺のお気に入りのショルダーバックがズタズタに!!!!
俺は涙を流しながら叫んだ!
「あんないい人を殺して、お前はよく生きていられるな!俺のレイアを返せ!」
「2次元と3次元の区別もつかないの、馬鹿じゃない!」
「2次元だろうが3次元だろうが、殺人は殺人だろうが!」
俺とエマ伯爵夫人は、シェアアトリエ内で激しく戦いを繰り広げた。
そう、俺は!
レイアの仇を打たねばならない!
でも時間の経過とともに、俺とエマ伯爵夫人は冷静さを取り戻して行った。
それはそうだろう。幾らなんでも、いつまでも熱狂は続くはずはないのだ。
☆彡
静まり返ったシェアアトリエには一晩中、誰も来なかった。
だから俺とエマ伯爵夫人は、一晩中、レンとレイアの死を嘆き、お互いの漫画を罵ったり絶賛したりした。
こんなにも自分の漫画を熟読している人に実際に会うのは初めてだったし、こんなにも感情移入してくれる人に会うのも初めてだった。
そこは嬉しかったんだと思う。
話してみて気づいたのは、お互いの欠点を補い合えば、上手く行くんじゃない?ってこと。
夜が明ける頃、俺は告げた。
「俺と一緒に夢を追わないか?」
「夢を追う?」
「漫画家としてコンビを組まないか?」
「コンビ?」
「死んだレンやレイアの為にも(なんのこっちゃ!←冷めた赤毛の狼の思考)」
「それが生き残ったわたしたちの使命だと(なんのこっちゃ!←冷めたエマ伯爵夫人の思考)」
「俺たちが組むことを、レンとレイアは望んでいたはず(なんのこっちゃ!)」
「お互いの欠点を補完し合えると?あなたアホなの?」
「もしエマ伯爵夫人の事を天才だと思った俺がアホなら、アホなのだろう」
☆彡
そして俺らは、2人で夢を追い始めた。
漫画を描けることはしあわせだが。やはり収益は欲しい。
俺とエマ伯爵夫人の欠点を補い合った結果、収益は足し算ではなく、掛け算の様に増えていった。
エマ伯爵夫人と、いつまで一緒にいるかは解らないけど、とりあえず収益の結果に、二人でにやけ、その後に続く未来に希望を持つことが出来た。
完
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