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14 かなうの章

中学の時、誰が誰を好きだったか解る図【承】相思相愛な雰囲気

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『空』と大きく書かれたTシャツをアキナリは着ていた。

守銭奴のくせに『空』って、と思いながら、


「モモカねえ、男運が絶望的なの、さらに絶対幸せにしないであろう男に限って、モモカに近づいてくるのよ。アキナイくんなら解るでしょう」

「うん、モモカちゃん、優しいから、その優しさに付け込もうとする奴らね」

「そう!」

「モモカちゃん、人が良いと言うか、人を見る目がないと言うか、アホと言うか」


『アホ』とまで言わなくても良いのに、まあ『アホ』なのだが。


「このままでは、モモカは仕合せにはなれない!」

「で、俺に商売の依頼?」

「そう」

「具体的な依頼内容は?」

「モモカの人生でたった一つだけ、モモカをしあわせに出来そうな男がいたの。

中学の時のモモセくん」

「モモセ・・・」

アキナイくんはじっと何かを考えていた。そして、

「はい、はい」

と言って微笑んだ。

「モモセくんなら、モモカをしあわせに出来ると思うの。

男の目線から見て、モモセくんってどう思う?」

「そうだね。男としても良い奴だと思うし、商売人としても信頼できる奴だと思う。

あの当時も、もっとも信頼できる奴だとは思ってた。ちょっと弱気な所があるけど、優しい良い奴だね」

「やっぱり。アキナイくんが良いなら、そうなんだね」

「でも結ばれたら、モモセモモカになるよ。どんだけ桃が好きやねんって」

「それは仕方ない。でね噂で今、モモセくんに付き合ってる人はいないらしいって聞いたの。だから依頼内容は、モモカとモモセくんを付き合わせて欲しいの。出来れば結婚までゴーに、それ以外にモモカがしあわせになる方法はない!ずっと一緒に住んでいて、わたしはそれを確信したの!」

「当時、モモカちゃんはモモセの事が好きだった?」

「うん。相当好きだった、近づくだけでカッチカチに緊張してた。

だから何も出来ずに中学卒業。

問題はモモセくんがモモカを、どう思っていたかってとこ。

男子の側から見てどうだった?」

「モモセ・・・『誰が好きか』って修学旅行の夜に聞いたことがあるけど、どうだったかな・・思い出せない」

「そこは覚えとけよ!大事な事でしょう!」

「でもあの2人相思相愛な雰囲気はあったよね。付き合ってはなかったけど」

「うん、うん。この依頼、出来る?」

「確か今度同窓会があったはず」

「そうそのチャンスに、あの2人を結んで欲しいの」

「面白そう」


アキナイはそう言うと、ギラギラした守銭奴の目で、わたしの顔を見た。

「その顔、金次次第って事?」

「そう」


『財布を出せ』とアキナイは手を出した。『財布ごと?』わたしは怯えながらも、モモカの為と思い、財布ごとアキナイに渡した。


「うわ!」

アキナイはわたしの財布の中身に驚いた。わたしにとっては日常なのに。


「本来なら相場として数万は必要なのですが、貧乏そうなメグミさんには、厳しそうなので、当時の中学生料金の500円で良いよ」

「えっホント」


こうして契約は成立した。

アキナイのにやける顔に、少しだけ不安を覚えたが。


つづく


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