上 下
125 / 185
13 たびだちの章

ツンデレ姫は、いと可愛い。 ~彼女の好きな明太フランス~

しおりを挟む


土曜日の朝。まだ彼女は眠っていた。

眠っている彼女は、ひたすら可愛い。


ふと小さなワンルームの部屋に、ぼくたち以外の気配を感じた。

ぼくはすぐに、女神の類だと解った。

部屋に満ちた雰囲気がね、邪悪な感じを感じなかったからだ。


この島国には800万の神々がいる。

見えるか見えないかの違いだ。


「あなたはさ~愛が足りないのよね」

そう言う女神は、手に天秤を持っていた。

天秤は平行を保ってはおらず、大きく傾斜していた。


「この軽い方があなたの彼女への愛情で、この重い方が彼女のあなたへの愛情だよ」

天秤の女神は説明した。


「要するに、ぼくより彼女の方がぼくを愛していると?」

「そうね。天秤が平行を保つのが理想、あなたには本当に愛が足りない」

「愛が足りない?」

彼女の寝顔をふと見た瞬間に、女神は姿を消した。

それでも、部屋には女神の柔らかな雰囲気が残っていた。


彼女は恋愛に関して、あまり熱くなかった。

ぼくに対して冷たさを感じることもあった。


だから、もしかすると惰性で付き合ってるのかと思ってた。


そうか、ぼくより愛してくれてたんだ。

ぼくの心は嬉しさに満ちた。


「このツンデレ姫め」

彼女の耳元で囁いて見た。 

     

それにしてもぼくには【愛が足りない】とは。

それなにり愛しているはずなのに。


まあとりあえず、彼女の好きな明太フランスでも買って来るとしよう。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おしっこ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜下着編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

処理中です...