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13 たびだちの章

怪盗猫に小判 ~捨て猫の恩返し~

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猫に小判ね。

猫には小判の意味が解らないから、やっても意味がないって意味だ。


「ふふふ、違うのだよ。わたしに限っては!

わたしはお宝が大好きな猫なのだよ」


今日はわたしの白壁の宝物殿内をご紹介しよう。

見て見給えこの大きな赤いルビーを!


「ふぉふぉふぉふぉふぉふぉ」


わたしは、わたしを拾ってくれた飼い主の為に、世界中を股にかけ怪盗を繰り返して来た。【怪盗猫に小判】とはわたしの事だ。

今や世界中の宝物が、我が手中にあると言っても過言ではない。

わたしは本物の宝物の代わりに偽物を置いてくる!

だから誰も気づかない!そんな【怪盗・猫に小判】だ。


ガタ・・・ギィィィィ


蔵の扉が開き、わたしの飼い主が帰ってきたようだ。


「ほら、いろりちゃん、大きな赤いルビーだよ。美しいあなたに相応しい!」


いろりちゃんは、学校の鞄を置くと哀しげに、わたしを見つめ


「何度言ったら解るの?

それを得る為に、どれだかの人が激しい喪失感に襲われたか!

あなたには、その哀しみが解らないの!

うちが、喪失感に満ちた宝物を貰って、喜ぶと思っているの!」


いろりは、そう言うと、大きな赤いルビーの宝石のついたネックレスを付け、満面の笑顔になり小躍りした。


「めっちゃ喜んでるやないかい!」

「ひゃはは♪」

「ひゃはは♪じゃねーよ!」


別にいろりが、宝石を盗んできて!と頼んだ訳ではない。

「ああいうの一度付けてみたい♪」

と言っただけだ。


そしたら想像以上に飼っていた猫が、有能なだっただけだ。


ここは、ど田舎山奥にある白壁の蔵。

そんなところに世界中のお宝があったりするのです。




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