RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第四章 天下分け目の大戦・参

正義を映す刀達

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互いの固有特性は、相性に依り相殺。

両者はひたすらに正面からの斬り合いに没し
死闘の中で血みどろに染まって行く。

ギルドがドーマンの左肩を斬り裂けばギルド
の右肩がドーマンに斬り裂かれる。

次は足、そして胸元。

吹き出す血の量が激戦を示し上げる。



「持ち前の硬さってのも……こんだけ波動が揺れちまえば形無しってトコだなァ……!」


「貴公もまた其の姿で良くもまあ吠えられたモノだ……ッ」


「立ち止まらねェモンは強ェ……俺はアイツからそれを身を以て知らされて来た気がすんだよォ……ッ!!」


「……だから、誰なのだと聞いているッ!」



互角の戦い、だからこそであろう。

両者共に幕引きは近い事を心の奥底にあった
本能が察し其れが脳へと伝達される。

ギルドとドーマンの視線が混じり合う。

其処が、最終局面へ移行の合図だった。



「「絶技……」」



共に声が揃うとドーマンの長刀には金糸雀色
の波動、ギルドには紫檀色の波動が高密度で
練り上げられ刀へと宿る。



 終段・現人斬しゅうだん・あらひとぎりッッ!!!」


 大義斬鉄剣たいぎざんてつけんッッ!!!!」



ドーマンの絶技に依りギルドの足が地面へと
鉄鏡のギフトの特性の一つ“磁力”に依り引き
寄せられた状態となる。

そして、ドーマンは両手で長刀を構えギルド
の頭上へ跳び上がると硬化した長刀を真上の
位置から振り下ろした。

対するギルドもまた絶技を放つ。

ギルド本人の背後に巨大な鎧武者が顕現して
大きな刀を振り上げて見せた。

其れに合わせてギルドは刀を振動させ迫って
来るドーマンに向けて自身も足元に掛けられ
身動きを止めようとする磁力を波動のチカラ
で振り払い頭上へと跳ぶ。

そして、鎧武者の一撃と共にギルドも眼前の
ドーマンに向けて其の太刀を振り下ろした。

戦場が、覇気のぶつかり合いに耐え兼ね壮絶
な大爆発を起こし苛烈な突風が巻き起こる。

其の爆風が消え失せた戦場には覚醒の姿をも
失い焼け焦げた両者が立っていた。



「ぐっ……負け…らんねェ……ッ!!」


「其れは貴公だけでは無い……ッ!!」


歯を食い縛り足を引き摺りながらも間合いを
詰めて行く両者はグッと刀を握る。

何とか振られた両者の刀がぶつかる度に身体
のバランスを失って倒れ込む二人。

だが、其れでも立ち上がる。

命在る限り負けとはならないとでも言う気か
と言葉が溢れそうになる程の死闘。

此れが士道、という道なのかもしれない。

そして、ギルドとドーマン。

二人の刀が振り上げられると其の刀同士さえ
ぶつかる事無く両者の身体が左右に倒れ込み
交差して地面に伏して行った。

士道と正義、そして命を賭けた侍同士の戦い
は両者が同時に意識を失うという決着の刻を
迎える事となったのだ。



王城、左陣の戦い。

同盟軍ギルドvs政府軍ドーマン。

両者、戦闘不能に依り、引き分け。
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