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第十四篇第三章 最悪の顛末
感じ想う儘に
しおりを挟む「ユーリさん……」
驚くべき事にパイロよりも先にU・Jの元へ
歩いて行ったのはマオであった。
「サーガさんとは私は一度しかお会いできませんでした…だから知った様な口を聞く事は避けたかったですけど………」
マオは此処で言葉を詰まらせる。
そして、前置きの様な形となってU・Jが
静かに待っている目の前で口を開いた。
「もし…サーガさんなら……今みたいに悩んでいるユーリさんの事をらしくないって言うと思います……私だって…いつもそうでは居られないとは解っていても……底抜けに明るくてカッコいいユーリさんが大好きなんですっ!だから……時間は掛かってもいいですから…いつものユーリさんが戻って来る事を…信じて待ってもいいですか……っ?」
マオの瞳から溢れ出た涙。
其れは心の底からの想いである事をU・Jに
深く、更に深く知らせる事となった。
「………ありがとよ。マオちゃん……だが、ソレを叶えてやるにゃあ…決断をしなきゃならねぇかもしれねぇ………」
U・Jは、そう静かに呟くと立ち上がりマオ
の頭を優しく撫でながらソッと胸の中へ抱き
寄せるとパイロへと目を向ける。
「…………ホントなら縁起の良い言葉を並べてやりてぇ所だが……良い未来だけが待ってるとは限らねぇ……」
U・Jの胸の中でマオはグッと痛い程に心を
締め付ける何かに表情を歪めた。
「P・J……もし、俺が………」
「U・J……ちょっと待った。皆まで言わなくていい……だが其の返答として此れだけは言わせてくれ……」
パイロに言葉を止められたU・Jは胸の位置
からマオは離すとさり気なくハンカチを渡し
隣に立たせて言葉を待つ。
「私は…何があっても貴方の味方だ。だから…どんな決断でも私はU・J…貴方の決断を賞賛させて貰う……」
「P・J……」
「何かが起こる前から考え抜くのは貴方には向いていない…。想う儘に感じた儘に…貴方の言う正義を貫いて行けば…いいんじゃないですか?」
強張っていたU・Jの表情からほんの少しの
笑みが溢れるとサングラスを外してパイロと
マオに順番に目をやって口を開く。
「ありがとよ……マオちゃん…P・J……とりあえず行ってくらァ……どうすべきかはそん時に考えるわ……」
そして、もう一度マオの頭を撫でるとU・J
はマオの店から静かに出て行く。
外で風の強い空を見上げていたU・Jの元へ
会計と謝罪、そして感謝を済ませたパイロが
追い付いて来ると一言、声を掛ける。
「まあ、困ったら……マオさんの店で皿洗いから始めればいいのでは?」
「バカ言え……世界一の皿洗いマンになっちまうだろ…俺がやったらよ……」
「フッ……そんなに甘い世界なんて何処にも在りはしませんよ」
そして、二人は静かに支部へと戻って行く。
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