RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十四篇第二章 大蜘蛛を背負う者

感恩戴徳の日々 “生命”

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あの日から、二年が経過した。

ストラーダはアラネアの“大蜘蛛”という万屋
で稼ぎを貰いながら貧乏ながらも王家という
鎖から解き放たれて自由に生きていた。

そして、サーラとの関係も良好なまま。

ガスタとランス、此の二人の配慮で政府への
というより父親リオス国王への報告を入れる
事で半ば公認の家出者となっていた。

リオスからすれば生きていてくれて其の報告
が止まぬ内は大目に見ようという事なのかも
しれないが王家にしては父は子に甘い様にも
感じ取れてしまう部分もあった。

此処迄、話せば何の変哲も無い当たり前の
日常が彼等の前にあるのだろうと思いがち
だが、其れは大間違いだった。

此の日、大きな変化が彼等の前に訪れる。



「オイッ……医者ッ!!どうなんだッ!?何とか言えェ!!」



二年の間で関係値も大きく進展したのだろう
アラネアが訪れていたのは何とストラーダの
川辺の家であり其処には医者が数名此の家に
訪れていた。

そして、アラネアの荒げた声の真横から何と
もう二人程の声が慌てて飛び込んで来る。



「早く答えを言ってくれってぇのッ!!」


「無事……なんですよねッ!?」



ストラーダの家に度々、出入りしていたから
であろうが既に顔見知りとなったアラネアと
ランス、ガスタの三人が医者に詰め寄る。

何が、起こったと言うのか。

そして、医者が呆れた様に溜息を吐いて家の
扉をゆっくりと開くと三人は息を呑む。

其処に待ち受けていた現実、とはーーー。









「オギャーッ……オギャーッ!!」



サーラの手に抱かれた一人の赤子とサーラの
横で椅子に座り込み其の赤子の表情を眺めて
笑みを溢すストラーダの姿。



「どわぁぁぁぁぁぁ!!赤ん坊いるじゃねぇかァァ!!」


「アラネアッ……もっと静かにしてくれよッ……コンニャロ…!」


「お、おう。済まんストゥ………」



多少ストラーダに怒られてしまったアラネア
は必死に声を抑えるとランスとガスタと共に
ジリジリとサーラの抱える赤子の元に歩みを
進めて頬が蕩ける程に笑みを浮かべた。



「……サーラさん…良く頑張りましたねぇ…」


「元気な赤子だな……こりゃあ母似で美形に育つってぇのう…」


「ふふ…ありがとう…二人ともっ」



ストラーダとサーラ、此の家族に起きた変化
とは何と、二人の息子の誕生だった。



「名前……名前は決まってんのかッ!?ストゥ……」


「ああ、決まってる。ずっと内緒にしてて悪かったな…」



ストラーダが目を向けたのはサーラ。

其れを見たアラネア達もサーラの元に視線を
向けるとまたしても息を呑む。



「この子にはそんな未来は訪れて欲しくない……でも、私とストゥの息子……この子には大変な困難が待ち受けてるかもしれない…でも、きっと……私達の子ならどんな困難も苦難も乗り越えて行ける……そんな“道”の上を堂々と進んで行って欲しい……だから私達はこの子に……“ロード”という名を付けたんだ……」



運命の子が、此処に生を受けたー。

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