RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第四章 暁光の聖天使

聖天使 シェリー・ノスタルジア

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バルモア王女シェリー・ノスタルジアが手に
したチカラから彼女は、こう呼ばれる。

聖天使せいてんしシェリー・ノスタルジアと。



「皆様っ……少しだけ時間を稼いでくださいっ……試したい事がっ!!」



シェリーの言葉に合わせてポアラ達、四人も
一気に戦闘態勢へと入って行く。

そして、シャーレが空へと舞い上がると自身
の手に握られた青龍刀から次縹色の水の斬撃
を力強く放つ。

更に、前へと飛び出したポアラはグッと拳を
背後へと引くと翠色の拳圧を飛ばす。

シグマもまた萱草色の疾風を槍の先端に溜め
回転させると同時に竜巻を解き放つ。

そして、レザノフは二丁のライフルを眼前に
突き出すと鈍色の弾丸を連射した。

其の攻撃には目もくれずシェリーは両手を胸
の前で合わせると瞳を閉じる。

敵前で瞳を閉じる事が出来る事こそ仲間への
揺るぎない信頼の証と言えるだろう。

裏帝軍幹部達は、閃光のギフトの付加に依り
強度を増したシグマ達の攻撃に防戦一方とも
取れる防御態勢を敷く他無かった。





「皆様の存在があってこそなんです。…私は…この感情に……感涙とどめず…遥かバルモアの地より拝し……バルモア王家ノスタルジアの王女としてかならずこの恩に報いると……天地神明に誓い…夜明けをもたらして見せますッッ!!」





響く若きバルモアの王女の覚悟の言葉に共に
歩んで来たレザノフは人知れず涙を流した。



「閃光絶技………っ……」



瞳を閉じていたシェリーが両手を真横に開き
輝きを増す桃色の光の中で其の眼を見開く。





 聖天・燦爛燐光せいてん・さんらんりんこうッッッ!!!!」





声と共に振り上げた両手の先から天へと昇る
微かな光の粒子が魔法陣を描き上げる。

そして、其の魔法陣から降り注ぐ幾つもの光
の粒子が緩やかに裏帝軍幹部達の元へと雪の
様に降り注ぎ、弾けて大爆発を起こす。

其の美しい光が舞い散る光景の中で裏帝軍の
幹部達は次々に倒れて行くのだった。



「……スゲェよ…スゲェ………シェリー…お前ってヤツは…」



ロードが感嘆の声を漏らして頬を緩ませると
シェリーが緩りと翼を織って地上へと其の足
を静かに付けて降り立った。



「諦める事さえなければ……どんなに困難な道でも……人の人生に……失敗という言葉はないんですっ…」



シェリーの瞳が裏帝軍軍団長グレイを捉えて
ジッと覚悟の視線を向け始める。



「かならず…導いてみせます…プレジアにもバルモアにも平等に…夜明けの光を…!」



其の言葉を聞いたグレイは何一つ言葉を発す
事なく倒れ込んだ幹部達の元へ緩り緩りと足
を進めて行った。

そして、幹部達が倒れた場に辿り着くと仲間
の顔を一人一人眺めた後で小さく呟く。



「……あの姫さんの言う事が本当ならよ…俺等にも……夜明けってのは来んのか…?」



ギリギリの所で意識を保っていた裏帝軍幹部
達はグレイらしからぬ其の言葉に胸を酷い程
強く痛めるのだった。
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