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第十三篇第四章 暁光の聖天使
夜明け前の奇跡
しおりを挟む少女の身体から桃色の輝きが解き放たれる。
其の光輝な輝きに当てられ夜の帷に包まれた
光の泉が更なる光を映し始める。
其の光景に裏帝軍の面々は息を呑み自分自身
の真上へと登り行く光の球体の行方を追う。
其の光は、まるで闇を斬り裂く奇跡の光。
其の光の暖かさが傷付き倒れた仲間達の内側
深層心理まで流れ込んで行く。
「(何だ……此の暖かい光は……)」
「(……不思議……痛かったモノが全部どっかに行っちゃったみたいに……無くなって…なんだろ…ポカポカしてきたっ)」
「(なんやろ……このあったかいモン…ワイは昔っから…よう知っとる気がすんで……)」
「(フフ…紛れも無い。此のチカラは……何でしょうね…最近、歳のせいか……涙腺が…)」
倒れ行くシャーレ達の身体から傷跡其の物が
段々と消えて行き、表情に笑みが浮かぶ。
「……シェリー……なのか……?」
緩りと立ち上がったロードが未だ不思議そう
に見上げた空に浮かぶ桃色の光の球体。
其の光景は、まるで闇夜に浮かぶ太陽。
そして、其の球体を太陽とするならば此の光
こそ暗く影を落とした此の時代に射し込んだ
暁光、つまり夜明け前の光。
未だ事態が呑み込めていないロードだったが
次なる光景を見て弾ける笑顔を浮かべた。
其の光景とはー。
桃色の光の球体が織りなされた光の翼へ緩り
と変わりながら其の姿を変えて行く。
其の光の中に現れた姿はまるで、聖天使。
桃色のホルターネックスタイルのドレスに
フィッシュテール状のスカートをふわりと
風に躍らせて其の光の中から純白のアーム
カバーを身に付けた腕を解き放つ。
そして、瞳を閉じたまま光の中から瞳を閉じ
抜け出る様に現れた其の女性の首元には金銀
そして、桃色のアクセサリーが輝く。
「……そうだよな。間違ってねぇよな……。なあ……シェリーーーーーッッ!!」
ロードの声に其の少女が瞳をこじ開ける。
そして、背中に生まれ出でた桃色の翼を強く
翻しひらりと宙で一周回ると笑顔を浮かべて
ロードの其の声に反応する。
「はいっ!!お待たせしましたっ……やっと、やっと……奇跡がこの私にもっ…!」
ロードはシェリーの言葉に首を横に振る。
「……奇跡なんて一度起きたらそうそう起きねぇさ……シェリー…お前は何度もその“奇跡まがい”を起こしてきた……つまりそれは……お前の“努力の結晶”だろ?なあ……」
ロードの言葉がシェリーに力を与える。
胸打つ鼓動の高鳴りが留まる事を知らない
少女の口から其の姿の名が明かされるー。
「閃光覚醒……“ 聖輝天使”ッッ!!」
遂に辿り着いた閃光のギフトの最高到達地点
がシェリー・ノスタルジアという次代を眩く
照らす少女に聖天使の加護とチカラを惜しむ
事など無く、全てを灯すのだったー。
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