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第十三篇第二章 鳳凰殿への来客
氷の龍
しおりを挟むリアの首元に刃が押し当てられたタイミング
で、祈りの祭壇の氷漬けになった入り口の扉
が重たい音を奏でて開いて行く。
そして、其の瞬間に二人の男性がリアを救援
する為に駆け付けて来た。
「リアッ!!生きとるんだろうのうッ!?」
「此れはまた派手に凍結していますね…やはり現れたのは貴方でしたか……アビス大将」
アビスの背後に迫る六撰将ランスとガスタは
眼前の光景と予想通りに立ち尽くすアビスの
姿に表情を引き攣らせて言葉を飛ばす。
「ワラワラと……だが貴様等を探している訳では無いのだ……奴は何処だ…」
アビスは一度、リアの首元から刃を離すと
背後に現れたランスとガスタの方向へ自身の
身体を向き直し視線を飛ばす。
「狙いは…親父さんか。じゃがの…今は会わせるワケには行かねぇんだってぇのッ!!」
「彼は今、傷付き病床に臥しています。ガルフ殿の命を狙う貴方を行かせる訳には参りませんよ…!」
ランスは槍を、ガスタは鎖鎌を其々構えると
ほぼ同時に朱色の迅雷のギフトをランスが
亜麻色の疾風のギフトをガスタが纏う。
「……誰が貴様等の都合を訊いた?俺は頼んでいるんじゃ無い……命令しているんだ」
アビスはより一層の波動の高鳴りとギフトの
練度を高めて場の温度を更に下げて行く。
其れは阻止しようと動くランスやガスタの身
が凍える程に震えるぐらいには下がっており
氷点下を平気で下回っている。
そして、アビスが振り上げた刃の周りに円を
描く様に生み出された氷が天井へ向かい登る
と共に体積を肥大化させ其れがいつしか巨大
な氷の龍と成り代わった。
「オイオイ、圧倒的だのう……コレでまだ覚醒のステージを残しとるっちゅうんか?」
「流石は……あの人の血を受け継ぐ者、というべきですかね…!」
「聞き捨てならん。俺は……俺だ。ジャッククォーツという血流は意味等、成さん」
振り下ろしたアビスの刀の動きに合わせて胴
の長く氷の鱗を持ち、赤い瞳の氷の龍が頭上
から大きな口を開いてランス達に突っ込む。
二人は左右に別れて跳び何とか其の攻撃を
回避するが地を這う様に突っ込んだ氷の龍が
其の儘、頭を左へと進ませた後でまた天井へ
舞い上がろうとした瞬間だった。
遠心力を持って振られた氷の龍の尾がランス
とガスタを順番に急襲し、壁に向かって吹き
飛ばして見せると壁に凍結し固まっていた氷
が衝突に共に勢い良く崩れ去って行く。
此れで未だ、通常状態。
覚醒や絶技と言った余力を残しながら六撰将
三人を圧倒せしは現代の大将が一人。
氷龍アビス・ジャッククォーツ。
其の強さにアビスの背後で凍結されたままの
六撰将リアは恐怖を刷り込まれ俯く事だけが
唯一出来る事だった。
そして、アビスの周囲を氷の龍が優雅に強く
其の強さを発揮しながら舞っていた。
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