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第十三篇第一章 創痕癒す光の泉
祈りの街 メイデンセイス
しおりを挟む大監獄プリズングァザからプレジアの各地へ
届けられた其の大事件に浮き足立つ国家。
政府は此の結果に難色を示し表情を強張らせ
失態の大きさを現す。
其れ程に大監獄プリズングァザから反乱軍の
参謀アドリーの奪還を許すという事態は重く
政府にはのし掛かっている。
しかし、反乱軍側として戦った人間達にも
此の結末は笑顔無きモノであった。
護国師団反乱軍はアドリーの命と引き換えに
幹部ヒューズを失った。
結果的には幹部クラスの命が一つ反乱軍から
欠けてしまった事を意味する。
独立師団革命軍からティアというアドリーの
親友の助けを得て永い月日を刻んだ両軍同士
の関係性にも関わる流れも起きたがヒューズ
の死は其れを今は有耶無耶にする程だった。
余りにも重苦しい雰囲気と身体の疲労を感じ
闇の街ヘルカイウンから街境を越え仲間達が
先行している祈りの街メイデンセイスへ一行
は言葉無きままに足を進める。
そして、祈りの街メイデンセイスでの目的地
となる国宝寺院“鳳凰殿”を目指し一歩一歩を
踏み出して行ったロード達は幻想的な自然と
寺社の多く立ち並ぶ地へと辿り着く。
まるで、ファンタジーの世界から飛び出して
来たかの様な古風な紅き寺院の外周には池の
水を縄張りに錦鯉が流麗に游いでいる。
アーチ状の石畳の橋を渡りながら背後に壮麗
に聳える山々を眺めながら足を進める一行の
中で、ふとシェリーが振り返り足を止める。
「皆様っ…おそらくあのニュースはこちらに来ていた皆様の耳にも入っている事でしょう…私達は私達のワガママを通してあの地へと向かいました……傷付き倒れた皆様を置いてですっ……療養に辛い出来事の話は…ご法度だとおもいますっ……悲しいですが…切り替えて行きましょうっ!」
其の言葉に心身共にボロボロとなっていた
レザノフやザック、そしてロードにも同じく
心を痛めているであろうシェリーの想いが
真っ直ぐに伝わって来ていた。
だからこそ、頬が緩み笑みが溢れて来る。
「ああ……アイツ等にも心配かけてんだろうからな…明るくってワケにも行かねぇかもしんねぇが…先ずは自分達の無事を知らせてやろうぜ」
ロードの言葉に深く頷いたシェリー達はまた
緩りと鳳凰殿の入り口を目指して行く。
大池を越えた先に見える鳳凰殿の入り口の門
には金飾に仕上げられたプレジアの守護神と
して長らく祀られた鳳凰の像が置かれる。
ロードは不思議と自分の波動の中に出現した
紅き鳳凰の存在を思い浮かべ胸にグッと手を
当てて何かを考えていた。
恐らく自分の身体の中に存在する鳳凰が此の
パワースポットの様な場所で呼応したのでは
と推測するが、其の答えは解らない。
そして、辿り着いた祈りの街メイデンセイス
の国宝寺院、鳳凰殿の重たい扉に手を掛けて
緩りと開いて行くのだった。
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