RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第五章 繋がれて行く絆

空へ叫び空を睨む

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こうして、エルヴィス達はプリズングァザの
地獄からアドリーを救け出す事に成功した。

そして、ティアのチカラに依って大監獄とは
数キロ離れた山道迄逃げ果せる事にも成功。

しかし、彼等の表情からは其の達成感は微塵
も感じ取る事は出来なかった。

山道の脇道に座り込む一同とはほんの少しの
距離を開けた位置でエルヴィスだけが空へと
視線を向けて立ち尽くしていた。

其処にロードが静かに近付いて行く。

だが、声を掛けようとした其の瞬間にロード
はエルヴィスの声に止められてしまった。



「何も言うなッ!!今は……何も……話せる気にならねェ!!」


「エルヴィス…ッ……」



エルヴィスの其の声は遥か高い夕焼けの赤に
染まった空へと突き刺さる様に飛ぶ。

そして、反乱軍のメンバー達がエルヴィスの
元へと静かに歩み寄って行く。

アドリーもまた十年越しに繋いだティアとの
手は再び離れ俯いてしまっていた。



「私達は……生かされたんだッ……ヒューズに………」



アドリーは俯いたまま唇を噛み締めて拳を
強く握った状態で肩を震わせる。

すると、ギルドとリズが何かを察したかの様
に振り返るとロード達の元へと歩み寄る。



「とにかくよ。助かった……誰か一人でも居てくれなかったら…小娘の奪還すら叶わず全員御陀仏だったろうよォ……」


「フワパイさんっ…ラブちゃん達っ…ほんっとにありがとうっ!!きっといつか……何かを返せる日が来ると思うからっ!!」


「やめてくれッ……俺等は俺等の意志でここまで来ただけだッ!」



ロードの言葉にシェリーやレザノフ、ザック
そして、ティアまでもが同意の頷きを見せる
とギルドとリズは其れでもと深々と頭を下げ
再度の礼の言葉を述べるのだった。

ギルドとリズは其れを果たすと静かに踵を
返してエルヴィス等の元へと歩き出す。

反乱軍のメンバー達は感じていた。

常日頃から共に居た幹部ヒューズのギフトと
波動が移動中に完全に途絶えた事を。

だが、今は言葉に出来ない。

フラフラと覚束無い足取りで俯きながら腕を
だらんとさせて歩き始めたエルヴィスの足に
合わせて反乱軍が其の場から去って行く。

ロード達は其の背中を視界から消えても尚
言葉も無いままに見送った。

こうして、闇の街ヘルカイウンに聳え立つ
大監獄プリズングァザに囚われたアドリーの
奪還戦は幕を閉じる事となった。

結果から言えば勝者は反乱軍側だろう。

アドリーの奪還に成功したのだから。

だが、反乱軍のメンバーからは其の様な喜び
の声は一つとして聞く事は出来なかった。

平行線を辿り交わる事が無かった革命軍所属
のティアの参戦に依って反乱軍と革命軍の
此れからに変化が生じる事も決して忘れては
いれないのだが、今は此の場に居合わせた
全ての人間が其の想いには至る事は無い。

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