RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第五章 繋がれて行く絆

訣別の刻

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「スマねぇティア嬢ッ!!もう一丁頼むワッッ!!」



ギルドの声が飛び、託されたティアはほんの
少しの沈黙の後で静かに頷いた。

其の表情からは何かを押し潰したかの様な
辛さは見て取れたがティアは行動を起こす。

またしても大監獄プリズングァザの遥か外へ
繋がれる撫子色の流水の道を作り出し幾つか
の星型の足場をも形成した。

其れにエルヴィスの肩を強く抱いたギルドと
アドリーへ抱き付いたままのリズが飛び乗り
ロード達も其処へと続く。

そしてティアの三叉槍が流水の道に触れた次
の瞬間に其の流れが一気に早まりまるで虹を
掛けるかの様に星型の足場が流れ行く。



「エルヴィスッ…!恨むなら俺を恨めッ!処罰なら何だって受けてやるッ!!だがなッ…ヒューズの覚悟を無駄にするつもりなら…俺はお前を二度と許さねェ!!」



ギルドの真っ直ぐな視線にエルヴィスとリズ
の視線を受けたアドリーが押し負ける。

そして、振り返った二人が声を合わせ眼下に
立ち尽くすヒューズへ叫ぶのだった。



「「ヒューズーーーーーッッ!!!!」」



其の声はヒューズへと届き、ヒューズは胸を
熱くさせながら眼前のララ達を見遣る。



「やってくれたな……貴様」


「うん。やってあげたさ…僕の一世一代の決心でね」


「だが、甘いわ。貴方を捕らえる。そうすれば何れまた……反乱軍自体を潰すチャンスが訪れるのよ?」


「そうはならないさ…君達にとっては残念だろうけどね」



ヒューズの反応にララとマッドは訝しむ様な
目でヒューズの目を見詰めていた。



「絶技…… 槍旋一擲・馬蹄草そうせんいってき・かきどおしッッ!!」



突如として振り被ったヒューズがジャベリン
をララ達に向けて投擲し放った。

其のジャベリンは拡がった羽衣の中を通って
加速して行き、ララ達へと迫る。



「悪足掻きを…!」



ヒューズの放った大技はララとマッドの放つ
ギフトのチカラに因って掻き消された。

しかし、土煙が蔓延る中でララとマッドが次
に目にしたヒューズは背を向けて空を眺めて
おり行動が読めずにいた。



「うんうん。此れでやっと完全に視界からエルヴィス達が消えたね」



改めて振り返ったヒューズは覚醒を解いて
ララ達に笑みを浮かべて視線を送る。



「何の真似だ……貴様……」


「僕の役目はエルヴィス達を一度君達の視界から完全に消す事だった。そして其の次に控えてる役目を果たさなければ大将さんの言う通りになってしまう事ぐらい解っていたんだよ」


「まさか………」



ヒューズはララ達の目の前で胸元に自身の手
に在ったジャベリンの先端を突き立てる。



「そう言う事。僕は…此処で自らの手で死を選ぶ…覚悟はとうに出来ていたんだ」



ララ達が其の行動に絶句する中、ヒューズは
静かに目を閉じて心の中で呟く。



「(ありがとう……皆。託したよ僕の想い……!)」



そして、自身のジャベリン型の槍の先端が
自身の心臓を貫くのだった。

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