540 / 882
第十二篇第四章 烈しさを増す大事件
白炎斬り裂く雷霆の獅子
しおりを挟む「来いよッ…!」
アルマを包んだ白炎が熱気を帯びて熱量を
上げて行くのが見える中、迫り来るアルマの
攻撃に目を細めて真っ向から打ち破る体勢を
取った護国師団反乱軍総長エルヴィス。
アルマの性分からして其の受け止め方を本意
で在り胸を躍らせるモノだった様で彼の表情
に浮かんだ笑みを打ち消す事は出来ない。
目の前に迫るアルマの大柄な身体の三倍以上
に膨れ上がった白炎がエルヴィスに向かって
トンファーと共に放たれる寸前に其の白炎が
一瞬で圧縮される。
そして、トンファーの殴打が放たれると共に
更なる大きさと質量を誇って白炎の猛火が
エルヴィスへと襲い掛かった。
しかし、エルヴィスは落ち着いた表情で片方
の剣を斜め下から振り上げるとアルマの放つ
白炎が剣と触れると共に何処かへ消えた。
「……あァ?炎は…?ドコへ消えやがった…」
「相殺したんだよ。同じぐらいのギフトのチカラをぶつけてな」
「そんな微量なチカラのコントロールがこの一瞬で出来てたまるかってんだァ…!」
アルマの言葉が綴じられるのとほぼ同時に
エルヴィスはもう片方の剣を脇の辺りから
水平に薙ぎ払いながら静かに中将アルマの横
を通過し背後へと抜けて行く。
「其れが出来っから…此処に居るんだぜ?」
「ぐっ…貴様ァ…ッ!」
言葉を放ち終わるのを待っていたかの様に
エルヴィスの攻撃のダメージが中将アルマの
身体に見て取れる様になった。
脇腹から噴き出す多量の血飛沫をまるで背景
にエルヴィスは背中を向けた儘、眼前を其の
目で見据えて微動だにしない。
片膝を着きそうになる程の重傷を負うアルマ
だったが何とか振り返りエルヴィスに向けて
白炎の咆哮を放とうと息を吸い上げる。
しかし、背を向けた儘のエルヴィスの身体を
覆うかの様に金色の雷を纏う獅子のオーラが
中将アルマに声を上げて威嚇した。
「身体が…ッ…動かんッ……だと…?」
「獅子は百獣の王。其の雄々しき姿が放つ威嚇は相手を怯ませる。此れが俺とテメェの格の差だ…ッ…!」
背を向けた儘、放たれたエルヴィスの言葉に
アルマはガックリと肩を落とし遂には其の膝
を大監獄の床に着けてしまう。
「ココまで…遠いとはな…。どうなってんだよ…ナニが違うってんだァ……」
「アンタの言ってた通りだ…俺は焦ってる…アイツを失うかもしれない未来が怖ェからだ…だから止まれない。奪い返す迄はな」
「チッ……悪はお前らのハズなんだけどなァ…限界だぜ…チクショウが……ッ」
バタリと音を立ててアルマが胸の辺りから
大監獄の床へと臥して行くのを感じた反乱軍
総長を名乗るエルヴィスは息を吐く。
そして、其処からは言葉も無くただひたすら
にアドリーの待つ3rdフェーズへの南方階段
を目指して走り去って行った。
運命の再会を目前にしてーー。
60
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる