RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第三章 激震の大監獄

馬猟ヒューズvs鋏裁ロア

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「ちゃんと追って来いよッ…ヒューズッ!」


「ギルドさん…ちゃんと目的の方向に居てくださいよねッ!?」


「当たり前だボケェ…!!」



ヒューズの足止めを受けたロアの真横を抜き
2ndフェーズへの大階段へと足を踏み入れた
ギルドを目で追うロア。



「チッ……一人は逃したか…!」



ロアはほんの少しの足止めを食ったが流水の
ギフトを解放し深藍色の流撃でヒューズの蔓
での封じ込みを破って見せると警棒の様にも
見える細長い棍棒を構えた。



「どうあっても……真っ向からやりたいワケだ……」


「今は…此れがベストかと…」


「俺に勝てると……そう言っている様に聞こえるが…儚い夢だと何度言えば解るんだ…ヒューズ…!」


「そういうのは…結果で語るべきだと思うから……目の前の事から逃げない…其れだけを大事にしますよ…!」



ヒューズの言葉にニヤリと笑みを浮かべ前方
へ体勢を低くして駆け出したロアは深藍色の
流水のギフトを纏いながら棍棒を振り上げて
ヒューズの頭上から攻め込む。

すると、ヒューズもまた松葉色のオーラを身
に纏い樹木のギフトのチカラを高めて其の手
に握られたジャベリン型の槍を突き出す。

両者の武器とギフトが混じり合い周囲の壁が
ミシミシと音を立てる程の衝撃波を発した。

空中で身を捻って棍棒での追加攻撃を狙った
ロアだったが此処で戦いに動きが起こる。



「……何だ…此れは……」



攻撃を放とうとしたロアは突然の視界の揺れ
と頭痛に苛まれ空中で体勢を崩す。

其処にヒューズの槍が松葉色のオーラを纏い
ロアの胸元に迫って行くと其の攻撃の衝撃を
食らったロアが背後の壁に背中から吹き飛び
激突を見せるかと思われた。

しかし、其の直前でロアの身体が深藍色の水
へと変化しビシャッと音を立てて水だけが壁
に飛び散って行く。



「……特性“泡沫”……やはり貴方は疑り深い方ですね…」



ヒューズは其の水分身であったロアを確認し
本体が何処から攻め込むのかと警戒しながら
周囲への確認を怠らなかった。

一方、本体はと言うと大階段前の広間手前の
通路の壁に背中を預け後方からヒューズの姿
を其の目で確認していた。



「(此のウザったい…頭痛は…特性“猛毒”だな……蔓で縛られた時に受けたモンか…気付くのが遅れたな……)」



ロアは波動を流し込み其の特性“猛毒”を体内
で掻き消すと静かに足を踏み出して広間へと
戻って行き、ヒューズの前に姿を見せる。



「まさか…不意打ちも仕掛けて来ないとは…いつからそんな、正々堂々みたいなタイプになったんです?」


「波動の流れで位置ぐらいは把握してたんだろ…?なら不意打ちを仕掛ける意味は無いだろうが…!」


「其れもそうでしたね」



猛毒の呪縛から解放された副署長ロアは此処
からと言わんばかりに改めて構えを取った。
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