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第十一篇第四章 未来へ灯す希望の光
元帝国軍大将 カロス・アミュルテイン
しおりを挟む「だからよ…先時代の老害共が…雁首揃えて邪魔してんじゃねェぞッ…!!」
明らかに怒りの込もった声を上げたアークの
表情を見遣りながら隻腕の男が呆れた表情で
ほんの少し笑みを浮かべる。
「いついかなる時も…平静さを失うなと教えて来た筈だ…其の短気さが貴様を未熟者たらしめる理由なのだ…アークよ…」
「いつまで…上司ぶってるつもりだァ!?カロスさんよォ…テメェは帝国軍から外された身だろうがァ!!」
「フッ…其れは貴様が未熟者という事と何の繋がりがあるのだ?ギャーギャーと喚くだけなら人以外でも出来るという事を覚えるといい」
此の男、カロス・アミュルテインは数年前迄
帝国軍に所属した伝説の猛者である。
当時は“海神”カロスと呼ばれ隣に立つガルフとも
肩を並べた元帝国軍の大将の一人である。
そして、目の前で怒り狂うアークが入隊後に
所属したのが此のカロスの隊でありアークに
とっては上司であった事は事実なのだ。
「イラつくぜ…本当によ…。で?元大将が二人で組んで俺とやろうってか?」
「フッ…戦う理由は無い。俺達は此処から退かせて貰う…。追って来る程…お前に…帝国軍としての正義は無かろうて」
「随分と…都合の良い話だなオイ…」
「其れとほんの少し聞こえたが…お前が此の人をやれば…あの男はお前を殺すぞ」
「何だと…?」
「取るに足らぬ話では済まないだろうて。あの男は…其れ程迄に…ガルフさんに依存しているのだからな。そうなればお前の目的とやらにも達する事は叶わなくなるやもしれんな…」
「………チッ…もういい。さっさと消えろ」
「フッ…血に飢えた獣に見えて利害の一致があれば冷静さを取り戻す。未熟者から一歩…成長を見せているではないか」
「黙れッ!!俺の気が変わらねぇ内にさっさと此処から立ち去れってんだ…!」
「…そうさせてもらうよ」
カロスは最後に優しく微笑みアークの表情を
まじまじと眺めて見たが其のアークはと言う
と舌打ちを飛ばして顔を背けてしまった。
彼等の会話の中で出た利害の一致、ガルフに
固執するアークの同僚、そしてアークという
男の目的は不明なままであるが元帝国軍大将
にしてアークの上司でもあったカロスという
男の参戦に依ってガルフは救われた。
ガルフはカロスに肩を預けながら月の光に
眩く照らされた川のほとりから去って行く。
そして、合流地点でもある雷の街と祈りの街
の街境線であるイヴァンリスの長城へと静か
に足を進めて行く事となる。
時を同じくして六撰将ランスや同じく六撰将
ザックらの救援を受けた後方で殿を務め其々
の大役を果たした者達もイヴァンリスの長城
へと続々と達する事となる。
帝国軍には大きな激震が走った此のルタイ山
で執り行われた包囲戦も終章を迎えて行く。
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