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第十篇第五章 反乱と革命のフィナーレ
『I'll never forget that day』
しおりを挟む二人の脳裏に浮かぶ孤児村ピースハウスでの
あの出来事は忘れる事が出来ない物だ。
あの日から運命を違えたのだから。
二人は首元に突き立てられていた刀を引くと
互いの胸の前で刀同士をぶつけ合うと表情を
見遣りながら鍔迫り合いを演じ上げる。
様々な想いや葛藤が彼等を此の十年もの期間
襲っていた事は言う迄も無い。
眠れぬ夜もあっただろう。
涙した夜もあっただろう。
親友同士、道を違えた理由が単なる喧嘩で
あればとっくに何方からでも折れて謝れば
関係性の修復は出来た筈だ。
しかし、互いがいつしか叶えようとした夢は
両者の想いが道すがら共に歩む事を拒否した
かの様な結果を招く事となった。
親友の為に何方かが夢を諦める?
親友の為に何方かが目的を失う?
互いが互いを知り得るからこそ其の道だけは
ノアとエルヴィスが歩む事は無かった。
何故なら信頼する友人だからこそ其の行為は
侮辱とも取られ兼ねない行為となる。
そして、二人が出した答えは明確だった。
突き進む所まで突き進みお互いが掲げる自身
の夢や正義を貫き通す事。
其れこそ、互いへのリスペクトの証なのだ。
眠れない日々を過ごす中、二人は決意を持ち
こう感情を落ち着かせていたのだろう。
眠れないなら、眠らない明日を追い掛ける。
夢を見る事が全てでは無い。
其の夢を叶えようとする事こそ全て。
そして、誓いを立てたのだ。
いつか来る其の夢の終わりに出来るだけ自分
らしく生き抜いて此の姿のままで大人に。
場所を違えても親友同士繋がっていたのか。
口調は違えど全く同じ誓いを立てていた事等
ノアとエルヴィスの両者は知る由も無い。
二人は離れ離れになった後、澄み切った当時
の果てしない大空を見上げて此の誓いを立て
今日まで戦い抜く日々を送って来た。
其れこそ、運命。
場所を違え同日同刻に同じ誓いを立て戦う事
を選んだ両軍のトップは今は此の事実を知る
事も無く見上げた空が同じ空だという事さえ
気付く暇も無く駆け抜けて来た。
本音を言えば足が鈍る事を彼等は其の心と
身体で不思議と知っていた。
向け合った視線が睨みでは無く笑顔だったら
突き立てた刃がもし、手のひら同士だったら
二人はまた同じ道を歩けたかもしれない。
其処には至れない両者の覚悟をギフトと波動
のオーラが背中を押す様にぶつかり合う。
息を呑む事さえ忘れそうな剣撃の嵐の中で
二人は互いに一歩も譲らない一進一退の攻防
を繰り広げる中で太陽すら閉ざされた黒雲と
嵐に支配される空が見下ろす。
そして、二人が距離を取る。
其の次の一瞬に圧倒的なギフトのチカラ同士
が互いの刀を通して放たれぶつかり合う事で
其の黒雲立ち込める空すら揺らぐ激しき音色
が戦場に響き渡る。
十年にも及ぶ彼等の戦いにはどんな決着が
待っているのだろうか、重苦しい雰囲気の
中で戦いは加速して行く。
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