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第十篇第五章 反乱と革命のフィナーレ
『You are My Friend』
しおりを挟む晴れ渡る青空が見下ろす高台へと歩みを進め
其の頂上へと足を踏み入れようとする金髪の
男と時を同じくして逆方向からは銀髪の男が
此の高台の斜面を登る。
其の二人の歩みはとても緩やかで此の戦いの
舞台として選ばれた鋼の街レアメタリクスの
鉄鋼区域レアドキルナにほんの少しの静寂を
もたらす事となった。
そして、太陽の光が射し込む高台の頂上へと
其の戦いの主役と言える二人を招き入れると
両者は其の高台の頂上で視線を交わらせる。
刻は満ちたーー。
十年にも及ぶ彼等の反乱と革命の楽譜に遂に
最終楽章のメロディーが緩やかに奏でられる
事となって行く。
苛烈な戦争の中で此の最終楽章は驚く事に
緩やかな前奏を奏でながら始まった。
互いに視線は交じえるも口を開く事はしない
独立師団革命軍総長ノア・クオンタムと其の
正面に堂々と相見え表情を変える事すらせず
護国師団反乱軍総長エルヴィス・ハワードは
緩りと前へと歩き始める。
其れに合わせてノアも緩りと正面にひたすら
真っ直ぐに歩を進めて行く。
静寂の中で二人は多少の距離感を開けたまま
高台の中央で緩りと足を止めた。
そして、互いに腰元から緩りと刀を抜刀する
と戦いを奏で続けた鍵盤に掛かる指先が一気
に加速し速い曲調の音楽を奏で始めた。
其の音色に呼応する様にノアは一振りの自身
の刀の鋒をエルヴィスは二刀一対の内の片手
に握られた一振りの鋒を互いの首元の位置に
突き立て決戦の覚悟を示す。
「永かったな…ノア…!」
「ああ、久しい筈なのだが…どうも十年振りとも思えないのが不思議だ…」
「ちげぇねぇな…何でか知らねぇが俺も…そんな気がするんだ…」
「エルヴィス…」
「何だ?」
「俺は今でも“親友”だと思ってる…」
「そうかよ。ノア…俺もだ」
「“親友”だからこそ俺は…エルヴィス、お前には負けたくは無い…」
「今日は良く喋るじゃねぇか。言葉にしなくてもノアの想いと俺の想いは同じだぜ?」
「そうか…」
「だから、決着を着けよう」
「ああ、決着を着けよう。俺達の永きに渡る戦いに…!」
静かに会話を終えた二人の身体に白銀の疾風
と黄金の迅雷がギフトとして顕現する。
そして、其のギフトのオーラは十年前を再現
するかの様に白銀の風が吼える狼の姿を黄金
の雷が唸る獅子の姿を模る。
其の二人の波動とギフトの衝突は晴れやかな
青空にさえ影響を及ぼし暗雲立ち込める暗く
深い空を呼び寄せた。
轟々と唸る黒雲と嵐の如く吹き荒れる風に
支配された空は傷付き倒れ意識さえ失って
居た両軍の幹部達でさえ目覚めさせる事に
なり各々が其々の想いを胸に最終局面を迎え
た事実を知らせる此の空を見上げる。
護国師団反乱軍総長エルヴィス・ハワード。
独立師団革命軍総長ノア・クオンタム。
親友同士の最期の戦いが幕を開けるーーー。
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