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第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ
記憶の中で重なる影
しおりを挟むロイがエルヴィスに重ねた其の影を見た頃に
彼は未だ小紫色の軍服に袖を通していた。
とある理由から革命軍と衝突した帝国軍の兵
達の中にあの頃のロイは居たのだ。
しかし激戦の中で独立師団革命軍総長ノアと
初めて邂逅した当時ロイは拭い去れぬ悩みの
中に沈み切っていた。
其の眼前に立ち塞がった白銀の風を纏うノア
に圧倒的な覚悟を見る事となる。
『俺達は広い世界に夢を馳せた…だが其の夢は此の時代に於いては罪…しかし、海外には此のプレジアをより豊かに変えてくれる数々の未知が待っていると俺は考える。鎖国が始まり約百年…何人もの革命家が其の夢に挑んでは…破れて来た…俺が立たずとも必ず誰かが立ち上がる…しかし、他の誰かに期待して座って待つことこそ愚策なのだ…此の人生を賭け俺達は先頭に立ち戦う…其れが俺達の覚悟だ…!』
ロイは今でも打ち伏せられたノアから浴びた
其の言葉を大事に胸に仕舞い込む。
そして、其処に真なる正義を見た。
其の姿が不思議と眼前のエルヴィスの姿と
重なり溶け合って行く様に思える。
エルヴィスの言う互いの正義がぶつかり合う
事こそ“戦争”という定義の話。
其れを納得させられる。
ロイは其の正義を所属した当時の帝国軍から
見出せなかった事で革命軍の掲げた正義の旗
に想いを同調させたからだ。
其のノアが最重要局面だと位置付けた今回の
対反乱軍とのレアドキルナの戦い。
最後に立つ者達の正義が正しい者として世に
語り継がれる物となる事は百も承知。
ロイはエルヴィスの覚悟を知り改めて己自身
が描き掲げる正義の為に武器を取る。
「迅雷覚醒…“ 壮麗天馬”……!」
黄金の稲妻を纏うエルヴィスの眼前でロイは
臙脂色(濃く鮮やかな紅色)の電光を奔らせて
其の雷を身体に纏いながら覚醒を告げる。
ロイの背中から臙脂色の壮麗な翼が生えると
共に下半身が流麗な天馬の足へと変化する。
更には天馬の羽毛を模したコートを纏うと
眼前のエルヴィスに向けて刀を突き付ける。
「アンタの覚悟も受け取った…でもエルヴィス…アンタの想いと俺の想いは同じだよ…其れでも超えて行くだけさ…俺の掲げる正義を実現し…此の時代に抗う為に…!」
「ハッ…良い肩慣らしかもな。迫る決着に向けてよ…!」
余裕の言葉とは裏腹に眼前に聳える高台の
向こう側から何かを感じ取ったエルヴィスは
本気になったロイに改めて視線を合わせると
自身の集中を高めて行く。
そして、ロイが薙ぎ払った刀の鋒から迸る
臙脂色の雷が解き放たれるとエルヴィスは
自身の身体に纏われた雷の練度を高める。
そして、迫る臙脂色の電光を見てロイの持つ
迅雷のギフトの得意特性を察したエルヴィス
は其の雷を見切り地面を蹴った。
しかし、其処にロイの放つ更なる臙脂色の雷
がエルヴィス目掛けて襲い掛かる。
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