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第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ
知り得ぬ互いの本心
しおりを挟むそして、場面は切り替わる。
またしても捻じ曲げられた運命はもう一つの
戦いを其処に映し出していた。
腕組みをした純白の装衣に身を包むガタイの
良い男の前にはスカーフで口元を隠し漆黒の
装衣に袖を通した細身の男。
反乱軍副長ウィルフィン・フィンドールと
革命軍参謀フロウ・ダルバイン。
恐らくウィルフィンが当時から余り人と
馴れ合う事をして来なかったせいなのかも
しれないが此の二人は孤児村ピースハウスで
幼少期を過ごした繋がりがある。
「懐かしいな…ウィルフィン。お前ともこうして対立するとは思っていなかったぞ」
「互いにピースハウスで幼少期を過ごし、偶々、同い年だったという繋がりだけだ。貴様と俺はな…」
声を交わした二人だったがウィルフィンの
言葉から察するに他の誰かとは違いフロウと
決定的な因縁は無いと言いたい様だ。
だが、此れは実は真っ赤な嘘なのだ。
フロウは、其の前向きで思慮深い性格ながら
豪胆さも持ち合わせていた事で数多の辛苦な
過去を持つ少年少女が集うピースハウスでは
子供達の中での纏め役だった。
対して、ウィルフィンは当時は未だ自身の
感情の整理が付いていなかったとはいえ余り
自分から人と関わる様な性格でも無かった。
しかし、ウィルフィンにとって同い年である
フロウの様な立ち振る舞いは理想でもあった
が、其れは思春期の少年にとって劣等感から
来るコンプレックスの様にもなる。
更に追い討ちを掛けたのがフロウが其の力を
見初められ格闘技界の新星となるべく巨額の
オファーを持ち掛けたスポンサーがいた事。
其れに対しウィルフィンは何の答えも出せぬ
ままにピースハウスを出てから山賊に落ちて
しまっていた経験も物語る。
しかし、話は此処で終わらない。
順風満帆に見えていたフロウにとっての憧れ
こそ、其のウィルフィンだったからだ。
ウィルフィンは人と連まず、馴れ合わない。
しかし、誰よりも無償の優しさを持っていた
事を近くにいたからこそフロウは知っていた
のだ、手柄を主張せず、心の底から他人の為
を想い行動出来るウィルフィンの根の部分を
理解していた。
二人は互いに認め合っていた。
刻の悪戯がこんな運命を与えなければ出逢い
方が違ければ二人は互いに認め合っていた事
を惜しげも無く言葉に出来ただろう。
そんな事は知る由も無くウィルフィンは腰元
の刀を抜刀しフロウに突き付ける。
応戦したフロウは背中の大槌を手に掴んで
眼前のウィルフィンを見遣る。
「未来へ新たな一歩を踏み出す流れだ…!」
「此れから訪れるのは貴様等が願う未来では無く…俺達が築き上げる時代だ…其れを阻もうと言うのなら…排除せぬ道理は無い…」
互いへの想いは胸の内へと仕舞い込みフロウ
とウィルフィンの決戦が始まる。
両者が地面を力強く蹴った。
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