426 / 729
第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ
黒白に別れた運命
しおりを挟む「探したわ…でも会いたくは無かった…はぁ…貴女と対峙をするのは此れで最後よ…」
「ええ…覚悟はして来たつもりですわ…でも、どうしてでしょう…?いざこうして…対面すると…ね…」
向かい合った黒衣の女性と白衣の女性。
白と黒に別れたティアとアドリーの親友同士
の対峙に緩やかな風が流れる。
揺らぐ想いを隠す事無く言葉にした両者に
とって此のマッチアップは避けられない。
そう覚悟しながらも本心は戦いたく等無い。
其れはティアが濁す様に言い淀んだ最後の
言葉と其れに反応したアドリーの頷きから
容易に読み取れる事が出来た。
そして、二人は静かに全く同じタイミングで
小さく囁く様に声を発した。
其れは会話等では無く決戦の始まりを告げる
決意の言葉となってしまう。
「氷雪覚醒…“ 氷雨弓騎”……」
「流水覚醒…“ 煌涙流星”……」
互いに覚醒を遂げる。
アドリーはリボン、手袋が空色の氷を用いた
モノへと変わり肩や膝に氷の防具を纏いお尻
から丸まったリスの尻尾が生み出され氷の弓
を構えティアに視線を向ける。
ティアは星を散りばめた純白に染まるロング
スカートのドレス姿となり頭に猫をモチーフ
とした耳、頬からは猫らしい毛が張る様に
生えると槍を構えアドリーを見遣る。
「アドリー…ごめんなさい。貴女に恨みは勿論ありません…ですが、わたくしは心の底からノアを愛しています。彼の為に…わたくしの全てを尽くすつもりですわ…」
アドリーはティアの思わぬ告白にほんの少し
頬を赤らめたがティアがノアを好いている事
など十年も前から知っていた事だった。
「恋は盲目…はぁ…気持ちは痛いほど解るわ…」
「だから…心苦しいですが…アドリーにもエルヴィスへの想いがあるでしょう…ですから他の誰かでは無く…わたくしもアドリー…貴女を探していました…」
「そうね…行くわよ?ティア・ミルキートライヴ…!」
「全力で御相手致します…アドリー・エイテッド…!」
先に仕掛けたのは反乱軍参謀アドリー。
氷雪のギフトの特性“造形”に因って右の手に
氷の矢を精製すると其れを同じく造形された
弓から放って見せる。
ティアは撫子色の槍を旋回させ其の氷の矢を
弾いて見せるがアドリーは矢を惜しむ事無く
精製しティアを狙い続けた。
ティアも身体の前で三叉槍をグルグルと回転
させ流水の渦を顕現させると全ての矢を弾き
落としながらアドリーへと歩み寄る。
「(痛ッ……はぁ…今ぐらい保ってよね…私の身体…!)」
矢を放つ毎にアドリーの肩には激痛が走って
いるらしく度々顔を歪めている姿をティアは
見逃してはいなかった。
しかし、今、情けは掛けられない。
唇を噛み締めながらティアはアドリーとの
戦いに浸って行くのだった。
40
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?
ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。
妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。
そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる