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第十篇第一章 反乱と革命のリゾルート
存在し得ない反撃のカード
しおりを挟むガルダとデュークのオープニングゲームに幕
が降りた西の高台から北へと視点を切り替え
ると其処には色付きサングラスを掛けて足を
早めて鉄鋼区域を掛ける音の姿があった。
そして、其の男を岩陰からライフルの銃口を
ジリジリと合わせながら狙う一人の褐色の肌
をした女性の姿も此処からは見える。
だが、走る男には未だ其の姿は見えておらず
其の存在に気付いたのは一撃目の発砲の音と
凍てつく紫苑色の弾丸が彼の足元を襲った時
であり男は華麗に急停止からバックステップ
で攻撃を回避した。
「あれあれぇ~?紫色の氷に…ライフルの弾丸…僕ちんさぁ~この攻撃…知っちゃってるわぁ~…こっちっしょ?絶対そうっしょ?」
チャラチャラとした反乱軍幹部エゼルの挙動
に気付かれていると警戒を強めた革命軍幹部
ルナは岩陰で肩を縮こませ更に身を隠す。
だが、自身の存在に気付いた筈のエゼルの
行動はルナの思案したどのパターンですら
思考する事は不可能な物だった。
「お~いっ!!ルナちゃ~んっ!!ずっと会いたかったんだよ~いや、マジでマジでっ。お顔を見せておくれ~!!」
呑気に両手を高々と上げて手を振っている
エゼルの姿には流石のルナも想定外だった
様子で岩陰からズッコケてしまい其の姿を
エゼルの前に見せ付ける形になってしまう。
「おわぁ~やっぱり噂通りっしょ。ルナちゃん、君…めちゃくちゃかわうぃ~ねっ!!今度一緒にお茶でもどうっしょ?」
「呆れた…こんな時に…。残念だけど…私は貴方みたいに軽々しい男は嫌いなの…」
「またまたぁ~…照れちゃってぇ~…ホントにかわうぃ~ねっ!」
「身の毛もよだつ…とは此の事ね…。背筋が凍り付いてしまっている…嫌悪感が異常よ…貴方…!」
言い知れない嫌悪感から身体を震わせたルナ
の前でニコニコと笑顔を絶やさないエゼルは
美人を前にホクホクが止まらない。
ルナは容赦無く今度は真正面からライフルを
構えて氷雪のギフトを込めた紫苑色の弾丸で
エゼルを狙って行く。
「うわっと。手厳しいなあ~…それとも愛情の裏返しっ?そういう事にしておくっしょ」
ステップを踏んで躱していたエゼルに向けて
放たれていた弾丸に普段はクールさが売りの
ルナはペースを乱され静かに怒りを込めつつ
エゼルを討ち取ろうと弾丸を放つ。
「……しかしだけど…貴方。反撃すらして来ないとは一体、どういうつもりなの…?」
「反撃…?なんでそんな事しなきゃいけないのさ…僕ちんが女性相手に戦えるワケが無いっしょ~?」
ルナは首を傾げる。
此処は戦場、エゼル本人も其のつもりで此処
に来た筈なのだが、彼の言葉通りで在るなら
エゼルはルナと戦う気は毛頭無いらしい。
訝しむ様に睨み付けながらルナはエゼルを
取り囲む様に彼の周りを紫苑色の氷で固める
為に弾丸を止めずに放って行った。
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