RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
384 / 648
第九編第四章 此の国の護り神

鳳凰 ロード・ヘヴンリー

しおりを挟む




真紅の炎を纏い鳳凰の翼を背に背負った赤髪
ロード・ヘヴンリーが小さく口を開いた。



「業火覚醒…“真紅炎鳳クリムゾンフェニックス”…!」



ロードの言葉と共に背中の翼が大きく上空で
広がり其の姿を全員の瞳に焼き付けた。

遂にロードが、覚醒へと至る。

更に目覚めたチカラは“鳳凰”。

鳳凰とはプレジアに於いて三百年程の歴史を
誇るケーニッヒ王家の家紋に描かれる神話上
の神鳥であり、時には名を“不死鳥”としても
指される事もある無限の生命の象徴。

此の国の守り神として謳われたチカラが空に
舞うロードの姿を借りて此の時代に顕現した
事を思えばロードの授かった業火のギフトの
異様さに説明が付く。

最初から全火力を消費する事もあれば中々に
ロードが扱い切れていなかったあのピンキー
さも全てはロード自身が此のチカラの目醒め
に相応しいかを試されていたのでは無いか。

そう考えても可笑しくは無い。

だからこそ眼下に居る人間達が此の後に行う
ロードの行動が人並み外れた事だと驚く事も
無理な事では無かった。



「絶技…!」



ロードは上空高くで刀を陣の様に旋回させて
身体を中心として魔法陣を形成して行く。

絶技とはギフト戦術の最終奥義である。

其の奥義を何と覚醒が目醒めた其の瞬間から
放とうとする姿にディルやガルフ、グレイと
いった強者達ですら驚嘆を浮かべた。



「ハーハッハッハッ…ッ!まさかこんな…イベントが待ってるとはよォ…良いぜェ?ロード…守護神のチカラとやらを見せて見ろッ…焼き尽くしてやらァ!!!!」



まるで戦いを愉しむ子供の様に全身に立つ
鳥肌を感じながらグレイが笑い飛ばしながら
背に背負った薙刀を旋回させ構えを取る。



「行け…ッ…ロード…」


「やっちゃえっ!!ロードォ!!」



シャーレとポアラの言葉がロードの背中を
またしても強く押してくれる。

ロードの瞳に覚悟が灯った。





鳳凰神炎斬・極ノ太刀ほうおうしんえんざん・きわみのたちッッ!!!」





旋回仕切り魔法陣を形成し尽くした刀を脇に
仕舞い込み眼下のグレイ目掛けて斜めに身体
を倒して意志の強い瞳で見つめる。

そして、抜刀術の様に刀を逆袈裟掛け斬りに
振り切ると其の斬撃が前方に押し出される様
に動いた魔法陣の中を通過する。

其の炎の斬撃が先程、上空へ舞い上がった
鳳凰の姿と成って降り注ぐかの様にグレイに
向けて放たれて行った。

グレイは高らかな笑い声と共に薙刀を斜め下
から振り上げる様にして紺碧の斬撃を飛ばし
対抗するものの其の熱量すらも呑み込んで
ロードの放った絶技がグレイを襲う。

そして、大爆発と共にロードの一撃が活火山
の黒道の上で笑みを浮かべた政府直下裏帝軍
の軍団長グレイ・ギルノーブルを呑み込む。

確かな手応えを感じロードは肩に自身の刀を
乗せて緩やかに地上へと降り立った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私はあなたの母ではありませんよ

れもんぴーる
恋愛
クラリスの夫アルマンには結婚する前からの愛人がいた。アルマンは、その愛人は恩人の娘であり切り捨てることはできないが、今後は決して関係を持つことなく支援のみすると約束した。クラリスに娘が生まれて幸せに暮らしていたが、アルマンには約束を違えたどころか隠し子がいた。おまけに娘のユマまでが愛人に懐いていることが判明し絶望する。そんなある日、クラリスは殺される。 クラリスがいなくなった屋敷には愛人と隠し子がやってくる。母を失い悲しみに打ちのめされていたユマは、使用人たちの冷ややかな視線に気づきもせず父の愛人をお母さまと縋り、アルマンは子供を任せられると愛人を屋敷に滞在させた。 アルマンと愛人はクラリス殺しを疑われ、人がどんどん離れて行っていた。そんな時、クラリスそっくりの夫人が社交界に現れた。 ユマもアルマンもクラリスの両親も彼女にクラリスを重ねるが、彼女は辺境の地にある次期ルロワ侯爵夫人オフェリーであった。アルマンやクラリスの両親は他人だとあきらめたがユマはあきらめがつかず、オフェリーに執着し続ける。 クラリスの関係者はこの先どのような未来を歩むのか。 *恋愛ジャンルですが親子関係もキーワード……というかそちらの要素が強いかも。 *めずらしく全編通してシリアスです。 *今後ほかのサイトにも投稿する予定です。

異世界召喚されたのは、『元』勇者です

ユモア
ファンタジー
突如異世界『ルーファス』に召喚された一ノ瀬凍夜ーは、5年と言う年月を経て異世界を救った。そして、平和まで後一歩かと思ったその時、信頼していた仲間たちに裏切られ、深手を負いながらも異世界から強制的に送還された。 それから3年後、凍夜はクラスメイトから虐めを受けていた。しかし、そんな時、再度異世界に召喚された世界は、凍夜が送還されてから10年が経過した異世界『ルーファス』だった。自分を裏切った世界、裏切った仲間たちがいる世界で凍夜はどのように生きて行くのか、それは誰にも分からない。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

料理人がいく!

八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。 ↓ 神にその腕を認められる。 ↓ なんやかんや異世界に飛ばされた。 ↓ ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。 ↓ ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。 ↓ 主人公の住んでる山が戦場になる。 ↓ 物語が始まった。

聖女は祖国に未練を持たない。惜しいのは思い出の詰まった家だけです。

彩柚月
ファンタジー
メラニア・アシュリーは聖女。幼少期に両親に先立たれ、伯父夫婦が後見として家に住み着いている。義妹に婚約者の座を奪われ、聖女の任も譲るように迫られるが、断って国を出る。頼った神聖国でアシュリー家の秘密を知る。新たな出会いで前向きになれたので、家はあなたたちに使わせてあげます。 メラニアの価値に気づいた祖国の人達は戻ってきてほしいと懇願するが、お断りします。あ、家も返してください。 ※この作品はフィクションです。作者の創造力が足りないため、現実に似た名称等出てきますが、実在の人物や団体や植物等とは関係ありません。 ※実在の植物の名前が出てきますが、全く無関係です。別物です。 ※しつこいですが、既視感のある設定が出てきますが、実在の全てのものとは名称以外、関連はありません。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

処理中です...