RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第四章 此の国の護り神

流浪人の足跡

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十八の頃に、ロードは一人となった。

そして、其処から二年、自身の素性を隠して
国王である父親との再会を果たす為に唯一人
ロードは流浪人となって流れた。

今となれば其の二年ではなく街の名前の通り
に始まりの街コミンチャーレの長屋町で知り
合ったシャーレとの出逢いが本当のロードの
旅の始まりを告げて居たのかもしれない。

そして、其の儘、コミンチャーレ内の市場町
カントでポアラとの出逢いを果たし三人での
旅が幕を開けて行く。

光の街セイントピアではまたも運命の出逢い
がロードを待ち受けていた。

今なら言葉に出来る。

自身も本当なら王族の王子として生きて行く
筈だった人間だからこそ其の運命と向き合い
ながら生きて行くシェリーに共感を覚えた。

此の経緯がロードとシェリーの繋がりとなり
今此の時を迎えて行ったのだ。

だが、道は困難を極めた。

仲間や救援が無くてはロードは此の旅の中で
何度死んでいたのだろうか、一人のチカラで
此の時代と向き合い戦い抜く者達に勝った事
など彼には無いのだから。

悔しさや不甲斐無さは誰よりも感じていた。

だが、護りたいという想いに嘘は無い。

ランスやガスタの様に国王である父親や未だ
不明点の多い母親との別れから自身を育てる
為に表と裏で動いてくれていた人間への恩を
忘れる様な人間では無いからだ。

強くなって、恩返しがしたい。

そして、此の旅で出来た“友達”や“ライバル”
そんな言葉を投げ掛けてくれた人間達の顔が
順番にロードの頭の中を駆け巡る。



『どんな状況でも“己を信じる事じゃ”奮い立たせるんじゃ己を…其れは自分自身にしか出来ん…!』


風の街で出逢ったロニーの父親ゲイツの言葉
がロードに立ち上がる勇気を与える。



『若き世代が創り上げる未来サキ…見守りましょう…時に先導しましょう…次の時代をッ!!』



レザノフが掛けてくれた期待がロードの顔を
上げるのにチカラをくれる。



『こっからはワイ等はライバルや…!』



シグマの言葉がロードの負けん気を体内から
呼び覚ます様に滾らせる。



『仲間とは何だッ!?こうやって辛い時に寄り添えるのが仲間だろうッ!?』


『えへへっ…そのための“仲間”や“友達”でしょっ…?』



シャーレとポアラの勇気ある涙ながらの言葉
がロードの背中を押してくれる。



『明けない夜はありません』



そして、シェリーが放った其の言葉がロード
の瞳に真紅の炎を宿らせる。



「流浪人になってからは…ずっと一人で…暗い道を歩いてきた…だから感じた…この先に…光なんかさしてこないんだろうって…歩くのが怖くなった…進むのを止めたくなった…」



突如として立ち上がり身体はボロボロのまま
で言葉と瞳にチカラを宿す眼前のロードの姿
にグレイはふと動きを止める。

そして、ロードは言葉を続ける。


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