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第九編第四章 此の国の護り神
沸き上がる士気
しおりを挟む裏帝軍幹部達が総攻撃が再び始まった。
いの一番にガルフの首を狙うのは幹部アノン
だったが其の直線状に居たシャーレが覚醒で
纏われたマントの盾でアノンの覚醒した鰐の
口と同化した腕を捌く様に防ぐ。
「退けェ!!俺はあの男に用があんだよッ…テメェとやり合ってる暇はねぇんだッ!!クソがァァァ!!」
「此奴…性格というか中身が入れ替わっていないか…?」
自身が傷を負い血が流れるのを起点に怒りの
頂点を迎えたアノンのブチ切れ状態と先程迄
のギャップを知ったシャーレは首を傾げる。
そして、アノンがシャーレの元で足踏みを
している内に其の背後から抜け出た覚醒し
蜂をモデルとして変化したエマと狙われた
ガルフとの間に入ったのはポアラだった。
「ポアラ…今回もまた君だけと戦えんのが残念ばい…あたしには捕らえないかん相手がおるけんね…」
「お生憎さまっ…!アンタ達の好きにはさせないっての…!エマっ!」
青柳色の雷を纏ったエマの四本の腕に対して
ポアラは翠色の大地のギフトを纏った武闘家
仕込みの腕捌きで対応して行く。
そして、脇からはスネイクとライアがガルフ
を狙って更なる加速を見せ始めた。
「いやはや…もう笑い事では済みません…貴方にはおとなしくして頂きたい…!」
「妾達は退けぬのじゃ…必ず任務を遂行することこそが唯一…生き残れる道でありんすからッ!!」
先に仕掛けたのはライアで、蝶の羽を使って
低空を素早く移動しながら鉄扇から放たれた
梅重色の鎌鼬を巻き起こす。
だが、ガルフは片手で振るった黒刀から黝色
の氷波に因って鎌鼬を分断し凍結させる。
だが逆側から迫り来るのはスネイクの覚醒で
左肩に顕現したコブラの頭が肩から抜け出し
自身の意思で牙を見せながら眼前に現れる。
其れもガルフは回し蹴りで弾くが更に足元に
はスネイクの鞭が変化した細長い蛇が睨みを
効かせながらガルフを付け狙う。
「奴が現れたから何か…発破でも掛けられたか…?先程迄の奴等とは段違いに士気が上がって来たな…しゃらくせぇ…!」
ガルフの感じていた其の士気は正に軍団長の
グレイが掛けたとある過去の出来事から来る
裏帝軍には解る暗示の結晶だった。
そして、ガルフはスネイクとライアの攻撃を
躱しつつ緩りと歩みを進めるグレイを見遣る
と心の中で言葉を呟いていた。
「(数年前に起こった…裏帝軍内部での惨殺事件…通称“血の氾濫”…其れを引き起こした最悪の犯罪者として監獄に囚われていた奴が…裏帝軍の軍団長となったのが…三年か二年程前か…?政府の考えてる事がわかんねぇのは…此の人事もだったな。しゃらくせぇ…!)」
軍団長グレイもひたすらにガルフを目指して
歩みを進めていたが其の前に立ちはだかった
一人の男を前にして歩みを止めた。
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