RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九篇第三章 ポルナダベトルの戦い

躍る妖精と天空制す古代の翼竜

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「何をごちゃごちゃと…私を止める為にわざわざ此方に来たのでは無いか?」


「おっとっ…そうだった…。ごめんごめんっ…さあ、こっちもやろうっ!」



何やらわちゃわちゃと盛り上がっていた二人
を前にしてほんの少しムッとした表情を見せ
睨み付けて来たのはソフィア。



「ねぇっ…ロード。せっかくシャーレも見せつけたんだしさ…アタシの覚醒も見たくないっ?」


「ちぇっ…お前等二人だけ先に行きやがって…」


「何言ってんのよっ。ロードが先にギフトを授かって、どんだけアタシたちが焦ってたと思ってんのよっ…!」


「ん?それは知らなかったわ…」



未だにぺちゃくちゃと話し続けるロードと
ポアラの二人に流石のソフィアも堪忍袋の緒
が切れたのかイライラしながら口を開く。



「氷雪覚醒…“制空氷翼ドミネイトウィング”……!!」



ソフィアが覚醒を披露する。

身体が冷たい氷の肌へと変化を遂げ肩先から
伸びる嘴は白銅色の氷で造り上げられる。

そして、モデルは古代竜プテラノドン、古代
の天空を支配し続けた翼竜の翼が背中に優雅
にはためき身体を上空に押し上げる。



「あっちがトリケラトプスでこっちがプテラノドンかよ…恐竜ばっかりじゃねぇか…蜘蛛のくせに…!」


「言えてるねっ。それ…でもちょっと怒らせちゃってるかもっ…」


「心配は要らない…怒ろうとも怒ってなかろうとも目的の達成を邪魔するなら…容赦はしないッ!!」



ソフィアが上空から段々と翼のはためきを
加速させて行くと吹雪が巻き起こりロードと
ポアラの視界を塞いで行く。

両者は腕で其の吹雪を防ごうとするが、吹雪
の勢いは全くと言っていい程、衰えず、其れ
どころか強まって行く一方だった。



「そっちにだって…譲れないモノはあるでしょうけどねっ…アタシたち、今すっっっごく良い感じなの…!こんな時に…無駄にやな思い…してたまるもんですかッ!!」



ポアラが翠色の大地のギフトのオーラに特性
の一つである“重力”を掛けて眼前に迫り来る
吹雪を自身の前だけ完全に防ぎ止める。

そして、意を決して声を飛ばす。



「大地覚醒…“宝石妖精ジュエルフェアリー”ッ!!」



ロードの眼前で今度はポアラが覚醒を披露し
其の姿に妖精の翼がヒラリと加えられて行き
翠色のドレスに身を包んだポアラがくるりと
空に躍る様に舞い上がる。

そして、突き出した手の甲に固いエメラルド
の手甲が纏われた姿を見せ付ける。



「これが…ポアラの覚醒…。ホントに妖精になっちまった…」



ロードはシャーレ、そしてポアラの覚醒を目
に焼き付けながら仲間の成長を喜ぶ。

だが、心の何処かで通じ合った仲間が自身を
置いて先へと進んで行った其の姿にロードは
其れこそ言葉には表せない悔しさを感じた。

緩りとだが力強く拳を握り締める。

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