RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第一章 流浪人の帰郷

活火山ポルナダベトル

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帝国軍中将アルマ隊の急襲を受けたロードと
ガルフは素早く森林の中を抜けて行く道中に
じわりと肌が熱くなって行くのを感じる。

其の現象の正体は直ぐ様視界へと飛び込む。

火の街メルフレアの名の由来ともなっている
プレジア最大の活火山ポルナダベトル山の姿
が堂々と雄々しく見えて来たのだ。

ロードとガルフが走る漆黒の火山道には此の
活火山の噴火に因って流れ出た溶岩流が凝固
されているのが目で見て解る。

其の上で火山の頂上からは絶え間無く火山灰
が沸き上がり空気と触れ合い散って行く。

ロードは幼少期に親から此処へは近付くなと
口酸っぱく言われ続けていた事もあるぐらい
に此の活火山は活性した儘の姿なのだ。

火山を囲む様な溶岩流の黒い塊の道が異様な
程にだだっ広く視界に拡がっている事こそが
此の活火山が抱える大自然の脅威をまざまざ
と物語っているのが解る。

頭上へと高々と舞い上がり空から此の活火山
ポルナダベトル山を見下ろす事が出来るなら
恐らくグツグツと煮えたぎるマグマ溜まりを
其の目に焼き付けられるのだろう。

そんな大自然の景色を横目に汗ばむ身体すら
何のその、ガルフとロードは足を止めない。

すると、ガルフが背後をチラリと見遣る。

其の瞬間だった。

二人へ追随する様に駆け込んで来た巨体の男
が溶岩流に因って出来た黒道を蹴って空中へ
高く、そして強く跳び上がる。



「業火覚醒……“吼吠猿破バークエイプ”ッ!!!!」



頭上へ跳び上がった巨体の男の身体が更なる
増強された筋骨隆々の姿へと変わる。

そして、全身が毛に覆われ野生感を漂わせる
と二本の大きな角が額から現れた。

獣人の様な姿へと変貌した其の巨体の男は
頑強で大きく変化したトンファーを手にした
儘でいきなり空気を深く吸い上げた。



「ロード…左に避けてろ…しゃらくせぇ奴だ…まだ追って来やがった…!」



ロードがガルフの言葉に慌てて方向転換を
した瞬間だった頭上の獣人化した巨体の男の
口から叫びと共に卯ノ花色の音波が光線へと
成り代わりガルフを襲ったのだ。



「ガルフさんッ!!」



光線が鋭くガルフを襲うと大爆発と共に白煙
を巻き上げてガルフの姿を包み消した。

だが、ガルフは刀の一振りで白煙を消し去り
其の場で急停止すると獣人化した巨体の男に
目線を向けて立ち止まる。



「しゃらくせぇ…儂が此の程度でやられるとでも思ったか…ロード…!」


「……無傷かよ…今のでも…」



立ち止まったガルフの前に力強く落下して
来た獣人は足の裏とトンファーで溶岩流の
黒道を破砕させながら着地する。



「追って来ても無駄だと言った筈だ…アルマよ…!」


「……さあ。無駄かどうかは知らんのですよ…俺はアンタに教わった通りに帝国兵を全うしてるだけなんでね…!」



まるで大猿の様に変わったアルマが先程とは
別人かの如くガルフを睨み付ける。
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