RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第八篇第四章 許されざる疑念

許されざる者

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「そん産まれた赤子が君やなかかと今…政府は目ばつけた…第十五代国王は君ん父親やなかかな…?ロード君…」



エマの一言にロードの背後に居たシャーレ達
に激震が走るかの様に表情が引き攣る。

此の仮定が本当だとしたらロードが探し求め
て居た両親は国王と其の妻となる。

そして、ロードは其の血を引き継ぐプレジア
王家の正当な後継者という事にもなるのだ。



「…身に覚えがねぇな…全部…仮定の話なんだろ…?」


「まあ…そうなんやけど。もう一つ…君がもし国王ん息子やとしたらなんでそん正体ば隠すんか…宰相ガズナは今…君ん母親ば追うとうばい…?ひた隠す程ん重大ななにかばからった君と君ん母ん存在ば隠す国王…ひっかかるよね?」



仮定の話をしてロードから何かを得ようと
するエマの魂胆は見え見えだった。

だからこそロードに常に問い掛ける。

其の反応から何かを探ろうとしていたエマは
見透かしたかの様にニヤリと笑う。



「なんなんだ…ニャロウが…!知らねぇって言ってんだろが…!」


「そんはらかく姿が仮定ば着々と真実へ繋げて行く。君は隠し事が下手なんやなあ…」



少し小馬鹿にした様なエマの一言にロードは
遂に平静を失い背負った刀の柄に手を掛けて
抜刀すると一気に地面を蹴った。



「待てッ!ロードッ!!」


「うるせェ!!口も手も出すんじゃねぇぞッ!!」



シャーレの静止を振り切ったロードはエマの
頭上から刀を一気に振り下ろすがエマは背に
掛けていた槍で其の攻撃を受け止める。



「余裕はどこしゃぃやら。うちがした話…否定する所がのうて焦ってしもうたかな?」


「なにもかも…見透かしたみたいに言うんじゃねぇよッ!!」



ロードが纏った真紅の炎が唸りを上げる。

業火のギフトの練度が更に上がり始めた事を
示す其の炎の凄まじさに周りは驚きの表情を
浮かべて言葉を失っていた。

だが、エマは其の炎の刀を槍を滑らせる様に
捌いて弾くと、ロードの肩を蹴って背後へと
跳躍し空中で槍を突き出し青柳色(春の葉の
様な強い黄緑色)の雷を先端から射出する。

其の雷は断崖に立つロードの足元を襲う。

其れを跳躍し躱したロードの目の前にエマが
一気に迫ると槍を頭上から振り下ろした。



「君んお仲間入れたらうちが不利なんや…後で追うけん愉しみにしとってな…?」



エマの行動は予測不能だった。

エマは何とロードを雷を纏った槍の一撃で
断崖下の急流へと叩き落としたのだった。

迅雷のギフトの特性“麻痺”と此度の仮定の話
がロードにもたらした不安定な感情が相まり
背中からロードは断崖下へと堕ちる。

抵抗する程の余裕は無かったのだ。

其の光景を見たシャーレ達はロードを追って
断崖絶壁へと慌てて駆け寄り始め膝を着いて
シェリーが届く筈も無い其の手を伸ばす。





「ロード様ぁぁぁぁぁッッ!!!!」





シェリーの絶叫が断崖絶壁に木霊する。
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