RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
335 / 648
第八篇第四章 許されざる疑念

反乱軍を追う者達

しおりを挟む



夕焼けに染まった空の下、反乱軍エルヴィス
とウィルフィンの背を追うのは遅れた状態で
走り始めたロード達だった。

取り敢えずは中将マリアが向かった方向へと
足を急がせ駆けて居たのだが途中から彼等の
足取りを見失ってしまっていた。



「なあ、レザノフさんッ!アイツ等のギフトとか波動とか本当に感じなくなっちまったのかッ?」


「…ええ。先程迄は派手にやり合って居たので解り易かったのですが完全に戦いに終止符が討たれた様で見失いました…」


「はわわわわわっ…お二人共大丈夫でしょうか…?」


「あの二人がそう簡単に負けるとは思えないけど…帝国軍も猛者揃いだもんねっ」



コンクリートの地面を駆けるロード、シグマ
シャーレ、そしてレザノフの横でやはり便利
だと感じるシェリーが空気に閃光のギフトを
付加して創り上げた五芒星の乗り物に乗って
優雅に舞うシェリーとポアラ。

エルヴィスとウィルフィンへ攻め込んで来た
帝国軍の二人が負けた事に依りギフトの残滓
すら感じ取る事が出来なくなったロード達は
取り敢えず真っ直ぐに走る事しか方法が無く
なってしまっていたのだった。



「(はあはあ…覚醒を体得したあの日から思う様に…波動が戻り切らない…やはりあれだけのチカラだ…リスクは相当らしいな…)」



駆けて行く中で初めて覚醒へ至ったシャーレ
は通常のギフトのチカラを引き出す事と覚醒
を使う事とでは次元が違う話だと悟る。

覚醒へと至る事と覚醒を自在に使いこなす事
とではまた話の違う物でもあるらしく実際に
其の事をレザノフには相談済みであった。

すると、レザノフ自身もかつてはそうだった
と言われた事から改めて鍛錬が必要であると
感じたシャーレは新たな覚悟を決める。

其れ以前にアレスから受けた傷もままならぬ
状態で剣術フェスティバルへと参加した事が
そもそもの失敗だったのかもしれない。



「オイ、アイツ等が向かったの本当にコッチで合ってるんやろうなあ?」


「知らねぇよ。だーから困ってんじゃねぇかッ!」


「ハッ…そりゃあアカンな…そのうち、どんつきに突き当たったりするんやないか?」



どんつきとは、主に関西圏で使われる方言で
“行き止まり”という意味らしい。

そして、そんな一言が現実となってしまう。

彼等が辿り着いたのは大きな崖だった。

左右を見渡しても視界には橋の様な物は無く
横幅三十メートルはありそうな崖である。

崖下を覗いた彼等は其の真下で轟々と流れる
流れの早い激流の川を見て崖から離れた。



「ギフトを使えば渡れなくは無いが…」


「わざわざこんなトコ越えたって保証無いよねっ…?」


「はわわわわわっ…見失っちゃったんですかっ?」


「其の様ですね…誰ともすれ違いませんでしたし…」


「あーらら…ホレ見てみぃ…案の定でどんつきやんけ…」


「いらねぇ予言をありがとよ…」



呆れ返る一同は溜息を吐いて輪になった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

××の十二星座

君影 ルナ
ファンタジー
※リーブラの外での呼び方をリーからリブに変えましたー。リオもリーって書いてたのを忘れてましたね。あらうっかり。 ※(2022.2.13)これからの展開を考えてr15に変更させていただきます。急な変更、申し訳ありません。 ※(2023.5.2)誠に勝手ながら題名を少し変更させて頂きます。「〜」以降がなくなります。 ─── この世界、ステラには国が一つだけ存在する。国の名も世界の名前同様、ステラ。 この世界ステラが小さいわけではない。世界全てが一つの国なのだ。 そんな広大な土地を治めるのは『ポラリス』と呼ばれる羅針盤(王)と、その下につく『十二星座』と呼ばれる十二人の臣下。その十三人を合わせてこの世界の『トップ』と呼ぶ。 ポラリスはこの世界に存在する四つの属性魔法全てを操ることが出来、更に上に立つ人間性も必要である。そして十二星座全員が認めた者しかなれない。この世界を治めるからには、条件も厳しくなるというもの。 そして十二星座は、それぞれの星座を襲名している人物から代々受け継がれるものである。ただし、それぞれ何かに秀でていなければならない。(まあ、主に戦闘面であるが) そんな世界ステラで、初代に次いで有名な世代があった。小さい子から老人まで皆が知る世代。その名も『××の十二星座』。 その世代のことは小説や絵本などになってまで後世に根強く伝わっているくらいなのだから、相当の人気だったのだろう。 何故そこまで有名なのか。それは十三人とも美形揃いというのもあるが、この代の十二星座はとにかく世界が平和であることに力を注いでいたからだ。だからこそ、国民は当時の彼らを讃える。 これはその『××の十二星座』の時代のお話である。 ─── ※主要キャラ十二人は全員主人公が大好きです。しかし恋愛要素は多分無いと思われます。 ※最初の『十二星座編』は主人公を抜いた主要キャラ目線で進みます。主人公目線は『一章』からです。 ※異世界転生者(異世界語から現代語に翻訳できる人)はいません。なので物の名前は基本現代と同じです。 ※一応主要キャラは十三人とも一人称が違います。分かりやすく書けるようには努めますが、誰が話しているか分からなくなったら一人称を見ていただけるとなんとなく分かるかと思います。 ※一章よりあとは、話数に続いて名前が書いてある時はそのキャラ目線、それ以外はマロン目線となります。 ※ノベプラ、カクヨム、なろうにも重複投稿しています。

【R18】異世界に来たのに俺だけ経験値がセックスな件〜エロスキルで成り上がる

ビニコン
ファンタジー
 突然の学校のクラス全員が転生からの、テンプレ通りの展開で始まる、職業はエロ賢者というアホのような職業だった。  アホのような職業で直ぐに使えないと判定からの、追放されることになる。  ムッツリスケベであった陰キャ主人公が自分の性欲を解放していき、エロで成り上がる。

実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、pixivにも投稿中。 ※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。

処理中です...