326 / 765
第八篇第三章 プレジアの宰相
天翔ける蒼き戦乙女
しおりを挟む視点はまたもウィズディックの屋上庭園から
宰相ガズナの言葉を訊いていたロード達側に
戻ると眼鏡の女性が溜息共に呟く。
「……ありがちな他所行きの台詞。そんな事本当に思ってるかどうかも怪しい所ね」
眼鏡の女性が放つ其の言葉に反応をしたのは
ロード達の中での最年長レザノフだった。
「…貴女は政府を余り良くは思って居ない様ですね。私目線で聞いていれば国の政のトップに立つ人間として見事な演説であったと感じましたが…」
「言葉だけを安直に取れば、ね…。本当に此の国の民を愛し、人間を大切にする行動が伴わなければ空虚な語りでしかないわ…!」
此の眼鏡の女性が抱く政府への感情は簡単に
言葉で説明するには難しい面が覗ける。
彼女には何か根が深い問題が控えている様に
も見え隠れし其の女性が醸し出す独特の空気
にロード達は言葉を挟み込めていない。
「…ごめんなさい。貴方達にこんな事を愚痴る様では其れこそ空虚ね。感情が上手く操れて居なかったわ…」
ふと謝罪の言葉を口にした眼鏡の女性を見て
いたロード達の元に屋上庭園の階段を慌てて
バタバタと駆け上がってくる一人の男性。
其の男性は荒れた息を整える様に両膝に手を
ついてほんの少しの休憩を挟むとバッと勢い
良く顔を上げて口を開いた。
「……ッ…中将殿ッ!反乱軍の総長と副長の二名が此のウィズディックを出て西の山へと抜けて行きます…奴等遂に動きましたッ!!」
中将と声を掛けられた其の眼鏡の女性は緩り
と振り返るとコツコツと男性に近付き彼が手
に抱えていた小紫色の羽織を受け取る。
「ちゅ、中将だとッ!?」
「通りで何処かで見た顔だと思った…。戦場を奔る蒼き戦乙女…蒼騎の異名を獲る帝国軍中将…マリア・シリウス…!」
手に取った羽織をバサッと音を立てながら
華麗に羽織った眼鏡の女性は振り返る。
「…随分、詳しいねっ…シャーレ…」
「…美人…だからな…!」
中将マリアを説明してくれたシャーレは流れ
を無視してポアラに頭を小突かれる。
そして、マリアはひらりと宙を舞うと庭園の
端に設置されたフェンスの上に降り立つ。
「やはり、動いた…私が追うわ…。宰相の護衛から一人…手練れを動かしなさい」
「でしたら、ドーマン少将が先行しています…!」
「…流石ね。反乱軍の総長に副長…。そう簡単に逃しはしない…!」
そう言い残すと膝を曲げずに中将マリアが
緩りと地面に向けて身体を前に倒す。
「おっ、オイッ!!ここ屋上だぞッ!」
ロード達の心配は無意味に終わる。
屋上からスカイダイビングの要領で飛び降り
を図ったマリアの足に蒼き稲妻が纏われる。
そして、空を駆けるかの如く稲妻を奔らせて
中将マリアは宙を走りエルヴィス等の背中を
追走して行くのだった。
60
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる