RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第二章 王家に仕えし血族の墓標

大滝内部の洞窟

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「おわああああああッッ!!」


「きゃあああああッッ!!」


「んがあああ…何処まで落ちるねんッ!!」



まるでおむすびころりんの一幕の様な落下劇
に苛まれたロード、シェリー、シグマの三人
は大滝東側密林端に建っていた祠近くにある
古びた小さい寺社の隠し扉の内側へ。

そして、何故だろうか、おむすびころりんの
一幕の様な此の光景で当てがわれた配役は
まさかのおむすび役であった。



「……うがっッ!!」



岩の地面に最初に落ち切ったのはロードで
背中から落ちたモノのくるりと身体を反映
させてうつ伏せで動きを止めた。

すると、更なる災難は続く。



「あいだッ!!どないなってんねん!こりゃあ…!!」


「きゃあッ!!!あいたたたたた…」


「はうあッ!!!!」



シグマとシェリーが落ち切ってシグマは腹部
をシェリーがお尻を痛そうに摩っている真下
から断末魔の様な声が洞窟に響き渡る。



「……ん?なにやっとるんや…オメェは」


「…ロード様っ?はわわわわわわッ…ご無事ですかッ!?」


「…………いいから、とりあえず退いてくれねぇかな……ッ……?」



ぷるぷると震えながらロードの背中の上の
シグマとお尻の上に座り込む様な体勢でいる
シェリーに要望を出すと二人はロードの身体
の上から身体をずらした。



「…っッつう……ヒデェ目に合ったぜ…ニャロウめ…」



背中を摩りながら立ち上がったロードの背後
でシェリーとシグマは少し申し訳無さそうに
頬を赤らめて笑っていたが、ロードはそんな
事よりも周りの景色に目を向ける。

耳をつんざく様な瀑声が外に居た時よりも
深く激しく耳の中へと沈み込んで来る。

どうやら此処は大滝の内側らしい。

流れる水の流れの奥にこんな空間があったと
言う事にロード達は気付き驚嘆していた。

そして其処の洞窟には大きく縦に長いとても
立派な墓標が建てられていた。

そして緩りと振り返ったロード達の落ちて
来た縦穴がある壁面には同じくプレジア王家
ケーニッヒ一族の家紋が彫られていた。

そして其の壁面に開けられた穴からロード達
は飛び出て来たと言う事ならば落下し切る前
にぶつけた箇所が幾つかあるのも納得だ。

縦穴は出口の辺りで逆さの「し」の字の様に
多少屈折していたのだろう。

落下中は気が動転していて気付けていない事
にほんの少し自分自身に呆れ顔を浮かべた
ロードは墓標の側へと振り返る。

そんな時だった。



「……もしや、ロード君…かい?君は…」



墓標の奥から出て来た白髪の中年の男性は
ロードの姿を見て慌てふためく。

白いマントを羽織り襟元を立てた姿を見せた
白い髭で口の周りを覆う眼鏡の中年男性は
緩り緩りと何故だか泣き出しそうな瞳で
ロードの元へと歩を進めて行った。

ロードは其の男性を見て段々と記憶の断片が
繋がって行くと頬を緩めて笑みを浮かべた。
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