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第七篇第一章 雪降る氷山地帯の再会
雪の郷ウルジムスルク
しおりを挟む降り注ぐ雪に歓迎されるかの様にロード達は
氷の街ケベルアイスにある雪で覆われた純白
の郷ウルジムスルクへと辿り着いた。
桟橋から足を進めて雪の郷へと足を向ける
三人の目には煉瓦造りで三角屋根の家屋が
立ち並ぶ景色を目にする。
其処で暮らす人々はコートのフードを目深に
被り分厚い手袋に長靴など雪国の生活様式を
存分に見せ付けてくれていた。
そして入り口のウルジムスルクの看板の前に
郷の子供が作ったのだろうか、多少不揃いな
形の愛くるしい雪だるまが出迎えてくれた。
「はわわわわっ…可愛いですっ」
パタパタと雪だるまに掛け寄ると膝を包む様
に腰を落としたシェリーが笑顔を見せる。
「……っ…ぅぅ…。なんやかんや寒うなってきてんな…オイ、氷の街っちゅうんはいつもこんぐらいの寒さなんか?敵わんわ…」
漸く寒さを実感してきたシグマは鎧の上に
コートを羽織っている為、ロードとシェリー
よりは暖かい筈なのだが身体を震わせる。
「いや?氷の街に関しては俺も初めて来たからな…知らねぇよ」
「なんや使えへんやんけ。唯一のプレジア国民なら直ぐにあったかいトコへ案内せんかァ…ボケがァ…!」
「んだとッ?鎧まで着込んで一人だけヒィヒィ言ってんじゃねぇよ。忍耐力って言葉知らねぇのか?軍平のくせしやがって…!」
「黙って聞いとりゃ言いたい放題かましやがってからに…舐めとんのか、此のボケ、いんや此の大ボケがァ!」
「なにが黙って聞いてりゃだ…ニャロウめ…テメェから始めたんだろうがッ!!」
雪の浄化は一瞬の物だった様でまたしても面
を突き合わせて喧嘩腰になった二人を察した
シェリーが立ち上がるとパンと手を叩く。
「ん?シェリー…?」
「なんや?姫様…」
緩りと振り返ったシェリーはいつもとは違う
表情で二人を見遣ると腰に手を当てる。
「もうっ!いつまで喧嘩してるんですかっ。仲良くしないならお二人とも私は嫌いですっ…せっかく綺麗な所なのに台無しにしないでくださいっ」
そう言い切るとぷいっと頬を膨らませてへそ
を曲げた様にそっぽを向いたシェリーを見て
二人はほんの少しの沈黙の後にガーンッ、と
絶大なショックを受けておどおど、とした姿
を見せながら慌ててシェリーに駆け寄る。
「わ、悪かったってシェリー…!」
「姫様えろうすんまへんでした…そない臍曲げんでや?」
「そ、そうだ。ほ、ほら。俺ら実は仲良いんだッ?な、なっ?」
「お、おう。せ、せやな?ほれ見てみい姫様…け、喧嘩するほど仲がいい言うてな」
引き攣った表情でシェリーの機嫌を取り戻す
様にして肩を組んだロードとシグマを見て
そっとシェリーが微笑んだ。
「(なんかお二人の取り扱い方がわかってきたかもしれませんっ)」
嬉しそうに心の中で呟いたシェリーだった。
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