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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
空に耽る思い
しおりを挟む場面はほんの少し切り替わる。
水の街アリアアクアのとある丘を降りて行く
漆黒の団服を着た男の懐で無線の音が響く。
「はいはーいっ!アドリーちゃんっ何か僕ちんに用っ?アドリーちゃんの声が聞けて僕ちんマジで幸せ者なんだけど」
『…はぁ…。そういうのいいから…』
「いや、マジでマジで。あ、つかごめーん。お姫様捕まえんの失敗しちったわ…」
無線の奥から聞こえる反乱軍参謀アドリーへ
今回の任務が失敗に終わった反乱軍エゼルは
軽めに報告をし始めた。
『…はぁ…まあ終わった事は気にしても仕方ないわよ…』
「なになに。あれれ?僕ちんの事慰めてくれてんの?激アツじゃーん…アドリーちゃん君やさしうぃ~ねぇ」
『はぁ…呆れる軽さね…エゼル。そんな事より例の国家指名手配の男の目撃情報が入ったの…今先行して動ける私達が向かってる…代わりにアジトで待機してちょうだい…エゼル…』
「あいあいさーっと。悪いけど僕ちん…ちょっち疲れちったからそっちで助かったわぁ…つーわけで頑張って行って来てよ…アドリーちゃん…!」
反乱軍エゼルの無線が切れると懐にまたも
無線を仕舞い込むとふと其の場に立ち止まる
エゼルはズボンのポケットに手を突っ込み
ながら風に雲が流れる空を見上げた。
「(やっぱ違和感やべーよな…副長さんの時は目的は“暗殺”。僕ちんの時はシェリーちゃんの“捕縛”…目的が変わった事もそうだけど。総長さんさ…女の子を傷付けられない僕ちんが捕縛と言えど失敗する確率何パーで考えてたんだろなあ)」
心の中で言葉を紡ぎながらエゼルはふとした
疑問を浮かべてまた緩りと歩き始める。
「(いや、割とガチで「どうせ失敗する」と思われて僕ちんが選ばれたパターンが有力になるっしょ…。総長さんも副長さんも…シェリーちゃんを殺さずに解決する策を探してる説。マジでありそ…。だから捕らえたとしても傷付けず殺す事は無い、僕ちん一人に行かせたワケ?あれれ?言えば言うほどありそうだわガチで)」
エゼルは不思議な反乱軍の変化を感じながら
丘を緩りと下って行くと多少真面目な顔に
なっていた所から笑顔を取り戻す。
そして声を出すとにっこりと微笑む。
「ま、僕ちんみんなの事大好きだから方向性が変わってもなーんにも問題ないっしょ。女の子に優しくなってくれたら、やっべ。もっとみんなの事好きになっちまうわ~」
にしし、と笑ったエゼルが風に吹かれる。
反乱軍にすら届いたロードの過去を知る男
ガスタの目撃情報に因って反乱軍最高幹部の
一人である参謀アドリーが現地へと向かう。
ロード達も氷の街ケベルアイスへ向かう事に
なればまた一悶着が起こる可能性が出来た。
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