222 / 765
第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
不可思議な因縁
しおりを挟むデュークの手に握られた特殊な形状の槍
に対抗してバレットが腰に据えていた刀を
其の手に握ると其の刀もまた珍しい形の武器
である事が一目で解る。
其の武器とは刀身が互い違いの六本の枝を
持つ得意な形状の鉄剣“七支刀”である。
其の刀をデュークに突き付けたバレットは
何やらニヤリと笑みを浮かべて口を開く。
「何や武器もお互い珍しい…君と僕にはなあ、更なる因縁もあるんや。知っとる?君は…」
「因縁…?」
「知らんみたいやなあ。一つ聞いて行って貰おか…。君はあのオースティン家の末裔なんやろ?」
バレットが放つ言葉にデュークはほんの一瞬
ピクリと表情を崩したが直ぐに普段の表情に
緩りと戻って行く。
「其れがどうかしたか?」
「君のおとん…。反逆罪で殺されてもうたやろ?アレ裁いたのは僕の父親なんやわぁ」
「………ッ!」
バレットの発言にデュークの槍を握る手に
一際力が込もっているのが良く解る。
バレットの父親は五年前迄、帝国軍に於いて
中将を任されていた強者であった。
現在は引退をした様だが、鎖国政策に因って
家系の廃れに発展してしまったオースティン
家を変えようと必死に奔走したデュークの
父親を当時、裁いたのが目の前に立ち塞がる
中将バレット・ワグナーの父である。
「なんや、因縁を感じてまうやろ?せやけど、僕を責めるのはやめとくれやっしゃ?親子言うても僕には何の罪もあらへんのやさかいなあ…」
不敵な笑みを浮かべるバレットの表情を見た
デュークは此れはバレットからの解りやすい
挑発であると直ぐに理解をし始める。
そしてふうと一息吐くと、また緩りと集中を
高めながら一度入り過ぎた手のひらの力を
解きほぐす様に抜いて行った。
「何処の誰が父の敵であろうと無かろうと…私の念願は唯一つ…。再びオースティン家の船に掲げられた家紋の旗が此の広い海を多くの希望を乗せて進む事だけなのだ」
「…こないな挑発には乗らへんってワケか…。本当難儀やわぁ…まあ、ええやろ」
眼鏡の奥で一度瞳を閉じたバレットは緩りと
言葉の締めと共に目を見開くと流水のギフト
の水色のオーラを身体に纏わせる。
其れに対抗してデュークは自身の宿している
深碧色の鉄鏡のギフトのオーラを纏う。
「亡き父にまた夢見がちだと言われぬ為にも私は己の宿願の為に此度の作戦を遂行して参る…いざ勝負だ。鮫弾バレット・ワグナー…ッ!!」
円錐状の槍の先端をバレットに突き付ける様
に構えたデュークが一気に地面を蹴る。
「何や意外と言葉は熱いんやなあ。そやけど熱いのはあんまし好きやないねん…。退場しなはれ…幻騎士デューク・オースティン…!」
デュークの突きを七支刀の互い違いの枝刃の
隙間で減速させつつ弾き上げたバレットの
回し蹴りがデュークの腹部を襲った。
60
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる