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第六篇第二章 港町に集う者達
海に想う復興の意志
しおりを挟むデュークは何かを思い悩む様に海を眺める。
「何かただ海が好きって訳でも無さそうだな」
其の横顔にロードは気付くと声を掛ける。
「…まあ、思う所は有ると言う事だ」
「それがアンタが革命軍に居る理由だったりするのか?」
ロードの言葉にデュークは表情全くと言って
いい程に崩す事は無いままに黙り込む。
そして多少の思案を重ねた後にデュークは
海を眺めたまま緩りと穏やかな口調で自身
についての話を口を開いて話し始める。
「私は此の水の街アリアアクアの港町…ラヴェンダの出身なのだ。そして私の性であるオースティンとはかつては貿易名家として名を馳せた家系でもあった」
「ぼーえきめいか…?」
「海外と契約を結び、各々の国同士のパイプ役となる生業をしていたという事だ」
「…え?…それって…」
細かい話の内容はロードには解らない。
難しい事は理解出来ないのだが、そんな中で
ロードはたった一つの疑問点で思考が止まり
デュークの顔を見上げている。
「鎖国が制定された約百年前は私の爺様の代であった」
デュークは言葉を続ける。
貿易名家だったオースティン家は其処から
転落の一途を辿った事は容易に解る。
デュークの爺様の代は他の事業に力を入れて
鎖国が解かれる事を期待しつつ其の時の為に
準備を怠る事はしていなかった。
だが、デュークの父親の代で別事業にも陰り
が見え始めた所で更なる風向きの変化を実感
したデュークの父は政府に直談判を行った。
鎖国の解除とは言わずとも緩和をして欲しい
と伝えに向かったと聞かされている。
だが、デュークの父は其処で反逆罪として
断罪される事となってしまった。
一市民に依る政府への物言い。
当時の政府側には罪深いと感じさせてしまう
結果となり父が断罪されたあの日からいつか
は此のオースティン家の復興を願うデューク
の代が始まって行くのだった。
「其の中で開国を狙うノアとの運命的な出逢いがあった。そして今に至る、という訳だ」
「家柄の復興…か。職業的に鎖国の煽りをモロに食らってしまった訳か…」
「…父や爺様の見た此の海の景色は私の目的を色褪せぬ物としてくれる。いつかはノアと共に開国を成し遂げる為に明日も夢見がちな自身を戒めて戦うだけだ」
デュークはそう言うとロードに背中を向けて
丘の上から姿を消して行った。
「…どいつもこいつも…自分のやるべき事に真っ直ぐだな…。俺は…結局…ランスに会っても何も進まなかったってのに…」
ロードは静かな海の音に包まれながら俯いて
自身の拳を力強く握り締めていた。
そして明日は貨物船の到着予定日となる。
明日に備えてロード達は静かに眠りに付いて
明日起こる其の戦いに備える事となった。
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