211 / 729
第六篇第二章 港町に集う者達
水の街の最高峰
しおりを挟む緩り緩りと歩みを進めるシェリーとレザノフ
の後ろを何だかフワフワした足取りのポアラ
と多少咳払いをして誤魔化すシャーレが追う
がロードは完全に立ち止まったまま。
其れに気付いたシェリーが振り返ると首を
傾げてロードに向かって声を掛ける。
「どうかしました?ロード様っ」
「………いや。ここなのか?今日泊まんの」
「はいっ。革命軍の方からはここだと聞いてますっ。何か不都合でも?」
ロードは軽く息を吐いてから俯くと一気に
息を吸い上げ其のホテルを指差して叫ぶ。
「いやッ、絶対ェに高ぇだろッ!!このホテルッ!!俺等の手持ちじゃ足んねぇっての…ッ!!」
「其処は御心配無く、ロード殿。革命軍が持ってくれるみたいですから」
ロードに対するレザノフの返答に何故だか
シャーレとポアラが胸を撫で下ろす。
「(や、やっぱり…そう思うよねっ…?誰も何も言わないから…言い出せなかったけど…)」
「(今回に限ってはロードの真っ直ぐな性格は強運だった…御金?足りる訳が無いであろう…こんなホテル…)」
シャーレとポアラはドキドキしていた心を
落ち着かせ様と揃って息を吐いた。
「つかよ…やっぱりシェリーはお姫様なんだなあ…こんな高そうなホテル見ても何にも慌てやしねぇ…ちゃんとした王族ってのはそういうモンなのか?」
「さあ…余り考えた事が無くてスミマセン…」
「ねぇねぇ。因みになんだけど…シェリーちゃんのバルモアのお家ってこのホテルと比べたら…もっと大きいの?」
「…そうですね…。このホテルと比べたら約十二倍程の敷地でしょうか?」
ロード達の目の前に聳えるのは六階建と高さ
は其れ程なのかもしれないがとても横に長く
庭にプール、テラス、テニスコート等が潤沢
に施設として備えられた大きなホテル。
其の十二倍とは、もはや意味が解らない。
ロード達は考えるのを諦めた様に笑う。
というか、笑うしか無かったのだ。
シェリーもシェリーで何故周りが笑ったのか
気付いておらず、不思議そうに首を傾げた。
「…これぐらい普通なのか…。シェリーみたいに…ちゃんと王族として生きて来たヤツは…」
誰の耳にも届かない程度の声で呟いたロード
は安堵の表情でシェリーとレザノフの背中を
追い掛けるシャーレとポアラを更に追う。
今夜は目の前に聳える水の街アリアアクアの
港町ラヴェンダが誇るアリアアクアの中でも
最大級のベリッシモ・パレス・ホテルでの
宿泊となり、足を踏み入れて行く。
フロントで部屋のキーを受け取ったレザノフ
は一つのキーをシェリーに渡すと女性と男性
で二つの部屋に別れる事となった。
元々広々とした部屋を取っていた事もあり
ロード達三人を追加しても男女に別ければ
泊まる事は容易という事だったが、ロードは
部屋に入り驚愕の表情を浮かべた。
50
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる