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第五編第二章 立ち上がる若き新芽
昇華するチカラ
しおりを挟む三人による攻めを綺麗に打ち捌いて行く
U・Jは段々と本領を発揮して行く。
速度を早めて攻撃を受け流すU・Jの余裕
ぶりを三人は感じていたのだが当のU・J
だけは違う想いで集中を高めて居た。
其れは本人すら未だ自覚していないロードが
手に入れた業火のギフトの特性の事である。
ギフト其々に当てがわれた三種類ずつの特性
の中から一つの種類が得意な特性として顕現
されて行くのだが其れはランダムである。
U・Jが察したロードの業火のギフトの
中で得意特性として顕現したのは“昇華”。
昇華とは、ある状態から更に飛躍的に
高度な状態へと上げて行く事を指す。
其れはロードの攻撃力が段々と積み重なって
行く事を示唆しており、打ち込みの強さが
変わって来た事から察した様だ。
だからこそ思わぬ高度な一撃を食らわぬ様に
気を引き締めながらU・Jは戦っている。
「…集中が少しこっちから外れてる…そろそろ掛かってよ…疲れるんだからコレっ!」
集中がロードに傾いた事を察したポアラが
此処ぞとばかりに重力の特性を強く発する。
其の重力の力が何とU・Jの片足にだけだが
効力を遂に発生させる事に成功したのだ。
「行ける…!流石だ、ポアラ…!」
其れに因って生じた一瞬の体重移動の
グラ付きを見逃さなかったのがシャーレ。
水分身を盾にシャーレは十手を敢えて
青龍刀で強く斬り上げると片腕のバランスを
崩しに掛かり、其処に真打ちが飛び込む。
「もらったァ!!」
U・Jの頭上から炎を纏った刀を縦に
振り下ろしに掛かるロードの一撃を見て
U・Jは波動の力だけで腕を無理矢理に
動かしてロードの一撃を十手で弾いた。
「だァ…ニャロウ…何であんなに崩れたのに動けんだよ…ッ!!」
「言葉は軽率でもやっぱり強いね…U・Jってさ…」
「ああ。間違い無い…さて、次はどう攻めるか…」
三人は息を切らしながら一度集まると
U・Jへの対策を練ろうと話し始める。
「(あー…少し危なかったか。アレより上になったら…ギフト使わねぇと少し怪我するかもな…チッ…めんどくせぇ奴等だ…!)」
三人はU・Jが今の一撃に至る迄の攻勢を
厄介だと感じているとも知らずに未だ其の
力の差は大きいままだと考えて居た。
其の光景を目に焼き付けて居たのはザックと
共に此の修行に驚いて居た小紫色の羽織を
纏った金の長髪の男であった。
耳には狐の形をした大きめのピアスをして
羽織の下は古代ローマの民族衣装の様な着物
に袖を通して身を包んでいる。
其の男は窓から中庭を覗き込みながら
口をあんぐりと開けている。
「…え?何がどうなってるッスか…?あのU・Jが…人の修行に付き合ってるって…」
「私も意外だったんですけどね…。自分から言い出したみたいですよ?」
「そんなバカな事あるワケ無いッスよ…。別人じゃ無いんッスか?ってあんな見た目そうそう居ないか…」
ザックを後から訪ねて来ていたもう一人の
帝国軍の男性は信じられない様子で中庭を
窓越しに見遣って居た。
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