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第四編第三章 親を探す最大の手掛かり
長い一日を終えて
しおりを挟むロードは一人、合流場所となる駅前へと
とぼとぼと足を向けて歩いていた。
町は既に夜闇に包まれ町の建物は何処も
明かりが付いており昼間とは姿を変えた。
疲れ切ったロードに一人の男から声が飛ぶ。
「…お?ロード君じゃねぇか。なんかめちゃくちゃ落ち込んでんなあ…」
「…ん?え…U・J…??」
ロードに声を掛けたのはどう見ても目立つ
バリバリのコーンロウの男、U・J。
始まりの街の守護将官が何故此処に。
ロードは疑問のハテナを頭に浮かべた。
「何やってんだロード君。しかも一人でよ」
「仲間と今から合流すんだよ…つかアンタこそこんな所で何を…」
「ちょっと寄り道だよ、行く所があるんだが中々に遠くてな。其処のマーケットで腹拵えだ」
駅前の通りにド派手な四輪バギーを止めて
其のボンネットに腰掛けて食事を取るU・J
を見ていたロードの元にまた別の二人が
笑みを浮かべながら駆け寄って来る。
「あ、ロード!無事だったんだね、アンタ…良かったあ…」
「ポアラ…一言怒ってやるのではなかったか?」
「…ッ…シャーレ!ポアラ…!」
ロードの元に手を振りながら駆け寄って来た
シャーレとポアラを見てロードは漸く疲弊
していた表情に笑顔を取り戻した。
勝手に飛び出して行ったロードを本来なら
一喝すると息巻いて居たポアラも無事に
生きていたロードを見てそんな気は失せて
おり目に涙を溜め込んでいる。
其の姿を見たシャーレは優しく微笑んだ。
三人にとってはとても、長い一日。
砂の街での出来事が終わりを迎えたのだ。
「あれ?U・Jがいる…なんで…?」
「おう。お前等も久しぶりだなあ。たまたま其処であっただけよ」
「…良く会うな。…不思議と…」
始まりの街で出逢い、旅をして来た中で
風の街以外では遭遇しているU・Jに
シャーレはほんの少し苦笑いを浮かべた。
「俺はちょっと用事で知り合いのやってる孤児院に差し入れをな…」
U・Jが親指を向けたバギーの後ろには
大量の段ボールが縄で厳重に括られて居た。
そしてU・Jの口から其の孤児院について
衝撃の言葉が発せられる事となる。
何と其処は反乱軍エルヴィス、革命軍ノアが
幼少を過ごしたという孤児院だと言うのだ。
名は、孤児村ピースハウス。
「…マジかよ…」
ロードの反応を見たシャーレとポアラは
顔を見合わせて笑みを浮かべると口を開く。
「U・J…場所を教えてくれないか?」
「アタシ達も次はそこに向かおうと思うの。ね?ロード。気になるんでしょ…彼等が過ごした其の場所が」
「…お前等…たくっ…気遣いやがって…」
「…なら乗ってけ。四人乗りで良かったな…俺の愛車のバギーがよ…」
U・Jの言葉に三人は笑顔を見せて愛車の
バギーへと続々と乗り込んで行く。
次の目的地は偶然出会ったU・Jに依って
開かれた場所、森の街フォレストールに
ある孤児村ピースハウス。
其処は反乱軍と革命軍双方の総長と大幹部
達が過ごし運命の序曲となった場所だった。
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