RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
152 / 648
第四編第三章 親を探す最大の手掛かり

荒鷲が行く

しおりを挟む


「おうおうポリ公め、こっち見てやがんぜオイ…シャバ僧…テメェ…ランスとか言うオッサンを追えェ…!」



瓢箪から恐らくお酒だろう液体を目の前で
ガブガブと飲みながら近寄る帝国軍の男を
見てニヤリと笑うガルダが言い放つ。



「アンタは…?」


「舐められてんだろ…目の前で酒盛りかましやがってよォ…上等すんなら容赦しねぇよ俺様はァ!!」


「…わかった…!」



ガルダが瓢箪をもった帝国軍の男を前に
立ちはだかるとロードはまた岩陰から隠れて
マムナック遺跡の中へと侵入を試みる。

すると近寄って来ていた帝国軍の男は瓢箪に
入れられた酒をガブガブと飲みながら顔を
真っ赤にして立ち止まると笑みを浮かべる。



「……ヒック…ああ。反乱軍幹部のガルダだねェアンタは…」



小紫色の羽織の下に黒い着物と赤い帯。

手に持った酒入り瓢箪と顔の横に付けられた
角が付いた赤い鬼の仮面をした中年の男。



「あァ!?俺様の事知ってんだなァ…!」


「…ヒック…そりゃあそうさね。アンタみたいな目立つ男を忘れる様じゃあ帝国軍の将官の立場は担えないってモンよ…うぃ~…」


「酒盛りしながら偉く余裕ぶるじゃねぇかあ…舐めやがって…あァ!?」



ガルダは背中にX状に差していた二本の
鉄パイプを手に取ると戦闘体勢に入る。



「おお…怖いねェ…ヒック…。しかしあっしもやる事が無くて暇なんだよォ…ほんのお愉しみと行こうかねェ…帝国軍少将オーズ・サーヴェントさァ…うぃ~」



帝国軍少将と名乗ったオーズも背中に斜めの
向きで所持していた棘付きの鈍器、メイスを
ふらつく足取りで持つと構える。

ニヤリと笑ったガルダは鉄パイプ二本ともを
砂漠の大地に振り下ろすと鉄パイプを砂漠に
引きずりながら猛突進を仕掛けて行く。

更にガルダは身体に疾風のギフトを纏い
刈安色(薄い緑味の黄色)のオーラを発現させ
オーズに向かって二本の鉄パイプを勢い良く
斜めから力強く振り下ろす。

するとオーズもまた大地のギフトを解放。
枯葉色(枯葉の様な黄いろ味の茶色)のオーラ
をメイスに纏わせて其の攻撃に応戦。

二種類のギフトが交わり重い鈍器同士の
音が砂漠に響き渡るとオーズは片足を鳴らし
砂漠の大地に振動を引き起こす。

其れは大地のギフトの特性“振動”のチカラ。

勢いが増すオーズの攻撃に怯む事も無く
ガルダは巻き上がる刈安色の風と共に
鉄パイプを持つ手に力を注ぎ込む。



「俺様はァ反乱軍の特攻隊長…ブッコミこそ俺様の人生そのものォ!!逃げるとかねェんでそこんとこ夜露死苦ゥゥゥゥ!!!!」



響き渡る刈安色の風がガルダの強い言葉に
当てられてオーズの身体の至る所に傷を
負わせ始めており、其れをみたオーズが
一度距離を取る為に背後へと跳ぶ。

此のチカラは疾風のギフトの特性の一つ
“裂傷”自身が起こす風の中の居る相手に
ジワジワと追加攻撃を当てがう特性だ。



「あァ!?退きやがったなテメェ…ド正面からド突き合おうぜ。荒鷲あらわしガルダ・ステンローザ様とよォ!!!!」



砂漠にガルダの叫びが木霊する。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

××の十二星座

君影 ルナ
ファンタジー
※リーブラの外での呼び方をリーからリブに変えましたー。リオもリーって書いてたのを忘れてましたね。あらうっかり。 ※(2022.2.13)これからの展開を考えてr15に変更させていただきます。急な変更、申し訳ありません。 ※(2023.5.2)誠に勝手ながら題名を少し変更させて頂きます。「〜」以降がなくなります。 ─── この世界、ステラには国が一つだけ存在する。国の名も世界の名前同様、ステラ。 この世界ステラが小さいわけではない。世界全てが一つの国なのだ。 そんな広大な土地を治めるのは『ポラリス』と呼ばれる羅針盤(王)と、その下につく『十二星座』と呼ばれる十二人の臣下。その十三人を合わせてこの世界の『トップ』と呼ぶ。 ポラリスはこの世界に存在する四つの属性魔法全てを操ることが出来、更に上に立つ人間性も必要である。そして十二星座全員が認めた者しかなれない。この世界を治めるからには、条件も厳しくなるというもの。 そして十二星座は、それぞれの星座を襲名している人物から代々受け継がれるものである。ただし、それぞれ何かに秀でていなければならない。(まあ、主に戦闘面であるが) そんな世界ステラで、初代に次いで有名な世代があった。小さい子から老人まで皆が知る世代。その名も『××の十二星座』。 その世代のことは小説や絵本などになってまで後世に根強く伝わっているくらいなのだから、相当の人気だったのだろう。 何故そこまで有名なのか。それは十三人とも美形揃いというのもあるが、この代の十二星座はとにかく世界が平和であることに力を注いでいたからだ。だからこそ、国民は当時の彼らを讃える。 これはその『××の十二星座』の時代のお話である。 ─── ※主要キャラ十二人は全員主人公が大好きです。しかし恋愛要素は多分無いと思われます。 ※最初の『十二星座編』は主人公を抜いた主要キャラ目線で進みます。主人公目線は『一章』からです。 ※異世界転生者(異世界語から現代語に翻訳できる人)はいません。なので物の名前は基本現代と同じです。 ※一応主要キャラは十三人とも一人称が違います。分かりやすく書けるようには努めますが、誰が話しているか分からなくなったら一人称を見ていただけるとなんとなく分かるかと思います。 ※一章よりあとは、話数に続いて名前が書いてある時はそのキャラ目線、それ以外はマロン目線となります。 ※ノベプラ、カクヨム、なろうにも重複投稿しています。

【R18】異世界に来たのに俺だけ経験値がセックスな件〜エロスキルで成り上がる

ビニコン
ファンタジー
 突然の学校のクラス全員が転生からの、テンプレ通りの展開で始まる、職業はエロ賢者というアホのような職業だった。  アホのような職業で直ぐに使えないと判定からの、追放されることになる。  ムッツリスケベであった陰キャ主人公が自分の性欲を解放していき、エロで成り上がる。

実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、pixivにも投稿中。 ※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...