RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
139 / 765
第四編第二章 絶望のオアシス

約束の時間を待つ二人

しおりを挟む


「んーーっ…はぁ…機関車かあ。気持ちよかったね、初めて乗ったよ」


「ああ。私もだ」



機関車を下車してルイソールの町に足を
踏み入れたのはシャーレとポアラ。

下車と同時に大地に足を置いたポアラは腕と
背中を伸ばして身体をほぐしており、恐らく
機関車の中でずっと座っているのが苦手で
相当、堪えたのだろうか。

もう少しで夕刻になろうかという時間帯に
砂の街コルドデザートにあるルイソールの
町に来たのは反乱軍の元へ一人で向かった
ロードとの合流が目的だった。



「ねぇ、シャーレ。ロードに文句言うのは合流してからじゃないと出来ないし…マーケットが出てるからちょっと見にいこうよ」


「其れは素晴らしい。此れは紛れも無くデートだな。暫し興じて見よう」


「…デートじゃないってば…!」



呆れた様に肩を脱力させたポアラだが
シャーレのおふざけには慣れて来ている様で
笑って誤魔化すとそのまま歩き出す。

マーケット内で色々物を物色している中で
ポアラとシャーレは町で暮らす人々達の
会話の中で一つの話に興味を示す。

其れはルイソールからセバラ砂漠を西へ少し
進んだ先にダフマという町があるらしい。

其処は砂漠のオアシスと呼ばれる綺麗な泉を
囲って建てられた町らしく其処のオアシスは
知る人ぞ知るパワースポットなのだそうだ。



「ダフマかあ…泉のパワースポットなんて何だか素敵じゃない?」


「どうせ夜まで暇は続くし、行ってみようか?」



シャーレとポアラはお互い頷いて行き先を
ダフマに決定すると出店で砂漠用のコート
を購入し、ダフマへと向かって歩き出す。

ポアラ自身は其の気は全く無いのだろうが
側から見れば只のデートにしか見えない。

シャーレが表情を終始緩めているのも
仕方が無い事なのかもしれない。

そして一時間程歩いた二人は砂漠のオアシス
ダフマの町に足を踏み入れると其処に見えた
のはダフマに聳える大きな石造りの宮殿。

町の高い位置から見ていたシャーレとポアラ
の二人は其のオアシスが宮殿内の庭にある
のを確認すると目を輝かせていた。



「わぁ…確かにすっごい綺麗な泉っ!」


「砂漠のオアシスか…正にチカラが宿っていそうな場所だな」


「あ…でも入るのにお金が掛かるんだね…商売根性入ってるなあ」



宮殿入り口でお金を渡して中へと入って行く
人間達を見て世知辛さを感じるポアラ。

そんなポアラを横目にシャーレはダフマの
南の方角に目を向けながら何かを思案する。

シャーレとポアラが居るのはダフマの町の
高い場所に位置する居住区を繋ぐ石の橋の
上だったが、北を見れば綺麗な宮殿があり
素晴らしい町なのだが南側は何故だろうか
活気が薄い様に感じてしまうのだ。



「ポアラ…少し此方に行ってみよう…」


「えぇ?そっち何も無さそうじゃない?」



文句を言いながらもポアラはシャーレと共に
ダフマの町の南側へと歩を進めて行った。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...