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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い
撤退戦へ変化する戦場
しおりを挟む「お、襲われ損じゃねぇか?なあ、オイ!」
不満を遂に口にしたロードに無言で
ツカツカと歩み寄って来たアレンがロードの
眉間に人差し指を突き立てて口を開く。
「だったら疑われる様な単独行動ばかりしない事だ…アンタの身から出た錆だよな?」
「お、おう…それはスマン…」
呆れた様に溜息を吐いて離れたアレンの
耳に無線からとある情報が流れて来る。
其れを黙って聞き終わったアレンはさっと
素早く振り返るとロードに向けて指示する。
「オイ、アンタ。ノアさん達は無事に退避が完了した…此処の革命軍に繋がる情報は全て消してあるから、此処のアジトは捨てる…交戦中の味方を援護して俺達も抜けるぞ」
「…おっ!アイツ等無事なんだな…!」
味方の無事を確認出来たロードは安堵の
表情を浮かべてホッと息を吐く。
「波動同士がぶつかってる所ぐらい気配の察知出来るだろ?手伝ってくれよ」
「おお、任せろ!」
二人は別れて交戦中の味方を探して走る。
だが、アレンは一つ思い違いをしてしまう。
「(そういやアイツ…誰が味方の波動かなんて…わかんないよな…まあ、上手い事誰かと遭遇してくれ…)」
波動のコントロールがまだ身に付いてない
上に革命軍との付き合いも短いロードが
気配察知という上級難易度をこなすのが
無理な事を別れてから思い付く。
アレンの不安は綺麗に的中する。
「こっちにデカい波動のぶつかり合いがある、直ぐに援けに行くぜっ!」
ロードはそのままアジトを飛び出して行く。
殿に残った革命軍は四人。
アジト内で戦うティア、ウォッカ、ヴィスタ
其れに救援として共に走り出したアレンは
勿論だが、アジト内に居るのだ。
ロードは何処に向かって行ったのか。
ロードの行く先には二人の男が居た。
だが、一人は傷を負い膝を付いて居る。
「そんなものか…まるで美しく無いな…」
息を切らし膝を着いた紺色の髪の男の前で
癖毛が特徴の金髪の男が冷たく言い放つ。
首周りに鳥の羽根を模したファーを巻いて
小紫色の羽織の下に高貴な白いスーツを
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上級貴族ヒューストン家の現当主にして
其の剣の才覚一つで中将の位を手にした男。
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「自惚れるな…そんな煽り一つで俺が死を待つだけの道理は無い…!」
ふらつく足に力を込めて何とか立ち上がった
のは光の街にてシェリー・ノスタルジアの
暗殺を試みた男、反乱軍副長ウィルフィン。
目の前のヨハネを睨みつける様に暗闇で
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「醜い…我の武の美しさとは遠く離れた者の様だな…ウィルフィン・フィンドールよ」
「せいぜい余裕をかましている事だ…帝国軍中将ヨハネ・ヒューストン…」
ウィルフィンが力を振り絞り握った刀に
漆黒(漆が塗られた様な光沢ある黒)の風を
纏わせてヨハネを鋭く睨み付ける。
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