121 / 783
第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い
試される真意
しおりを挟むアレンの一撃を刀で防ぐと其の勢いに
刀で押されながら、ロードは表情を歪める。
アレンの攻撃の勢いは止まるどころか其の儘
加速してロードを壁にまで追いやると背中
から壁に勢い良く衝突してしまう。
小さく呻きを上げながら両手で刀を押さえ
鍔迫り合いを繰り広げるロードに対して
涼しい顔で攻めを止めず繰り出すアレン。
ロードは其の状況で身体全体から真紅の炎
を解放すると、其の熱量にアレンが一度
後方に身を引くと解放されたロードが其の場
にドサッと膝をついて、息を切らす。
「…よし。まだ不安定だけど、全部は出し切らなかった…ウィルフィンの時よりは上手く出来たな…!」
「(おかしいな…コイツ…波動のコントロールが出来てないんじゃなくて…与えられたギフトのチカラが大きすぎるんじゃないのか…?聞いた話チカラを授かったのは数日前…此の熱量も純度も最初にしては規格外だろ…?)」
距離を取ってから暫く何やら思案している
かの様に固まっていたアレンに気付いた
ロードがニヤリと笑って立ち上がる。
「どうしたよ…?俺の事疑ってるから掛かってきたんじゃなかったか?」
「…んー…アンタ何でシェリー姫に拘ってんの?」
「…救われたからだよ…それだけだ」
実はアレンはロードが其の想い一つを持って
反乱軍副長ウィルフィンに立ち向かって
傷だらけになった事を聞いて知っている。
其れに此の街に来て反乱軍のギルドとも
交戦し、傷を負いながらも革命軍に危険を
知らせに走ってきた事も勿論だ。
だが、此処最近になっての情報漏洩の仕方は
革命軍にとって今一番の悩みの種でもある。
其のタイミングで関わり始めたのが
目の前の赤髪の侍、ロード。
疑う価値は間違いなくあったのだ。
「アンタさ…良くバカだって言われない?」
「…は?言われてるからって其れが何の関係があんだよ…!」
唐突な質問にロードは語気を強めて怒る。
「(認めたな…)…ねぇ、一回救われてさ。一回恩返しをした訳じゃんか、ウィルフィンの時に。何でまだ姫に力貸してんの?あ。もしかして惚れてる?姫に」
「…ッ!な、何でそうなんだよッ…!おかしいだろッ!流れが…!」
アレンに向かって指差した人差し指を
ブンブンと振りながら顔を真っ赤にした
ロードを見てアレンが一つ納得する。
「(あー…コイツ、惚れてんな。つか…嘘が下手すぎるんだよなあ…無理か、コイツにスパイなんて…)」
「何、黙ってやがんだ…ニャロウ…コラァ!」
「アンタ、嘘言って無さそうだわ。試してごめんな、ノアさん達は人を信じすぎるきらいがあるからさ…不安の芽は積んでおかねぇと…」
カットラスを仕舞い込んだアレンの行動と
今放たれた言動に頭が追いつかないまま
ちんぷんかんぷんとばかりにハテナを
浮かべて、言葉を失ってしまって居た。
70
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる