RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い

試される真意

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アレンの一撃を刀で防ぐと其の勢いに
刀で押されながら、ロードは表情を歪める。

アレンの攻撃の勢いは止まるどころか其の儘
加速してロードを壁にまで追いやると背中
から壁に勢い良く衝突してしまう。

小さく呻きを上げながら両手で刀を押さえ
鍔迫り合いを繰り広げるロードに対して
涼しい顔で攻めを止めず繰り出すアレン。

ロードは其の状況で身体全体から真紅の炎
を解放すると、其の熱量にアレンが一度
後方に身を引くと解放されたロードが其の場
にドサッと膝をついて、息を切らす。



「…よし。まだ不安定だけど、全部は出し切らなかった…ウィルフィンの時よりは上手く出来たな…!」


「(おかしいな…コイツ…波動のコントロールが出来てないんじゃなくて…与えられたギフトのチカラが大きすぎるんじゃないのか…?聞いた話チカラを授かったのは数日前…此の熱量も純度も最初にしては規格外だろ…?)」



距離を取ってから暫く何やら思案している
かの様に固まっていたアレンに気付いた
ロードがニヤリと笑って立ち上がる。



「どうしたよ…?俺の事疑ってるから掛かってきたんじゃなかったか?」


「…んー…アンタ何でシェリー姫に拘ってんの?」


「…救われたからだよ…それだけだ」



実はアレンはロードが其の想い一つを持って
反乱軍副長ウィルフィンに立ち向かって
傷だらけになった事を聞いて知っている。

其れに此の街に来て反乱軍のギルドとも
交戦し、傷を負いながらも革命軍に危険を
知らせに走ってきた事も勿論だ。

だが、此処最近になっての情報漏洩の仕方は
革命軍にとって今一番の悩みの種でもある。

其のタイミングで関わり始めたのが
目の前の赤髪の侍、ロード。

疑う価値は間違いなくあったのだ。



「アンタさ…良くバカだって言われない?」


「…は?言われてるからって其れが何の関係があんだよ…!」



唐突な質問にロードは語気を強めて怒る。



「(認めたな…)…ねぇ、一回救われてさ。一回恩返しをした訳じゃんか、ウィルフィンの時に。何でまだ姫に力貸してんの?あ。もしかして惚れてる?姫に」


「…ッ!な、何でそうなんだよッ…!おかしいだろッ!流れが…!」



アレンに向かって指差した人差し指を
ブンブンと振りながら顔を真っ赤にした
ロードを見てアレンが一つ納得する。



「(あー…コイツ、惚れてんな。つか…嘘が下手すぎるんだよなあ…無理か、コイツにスパイなんて…)」


「何、黙ってやがんだ…ニャロウ…コラァ!」


「アンタ、嘘言って無さそうだわ。試してごめんな、ノアさん達は人を信じすぎるきらいがあるからさ…不安の芽は積んでおかねぇと…」



カットラスを仕舞い込んだアレンの行動と
今放たれた言動に頭が追いつかないまま
ちんぷんかんぷんとばかりにハテナを
浮かべて、言葉を失ってしまって居た。
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