RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い

革命軍副長ティアvs反乱軍参謀アドリー

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十年前のあの日ー。

二人の会話から出た其の運命の日付に
何があったのか、まだ其れを知るには早い。



「はぁ…ティア…手を引いたら…?…見逃してあげるよ…」


「あらあら…そっくりそのままお返ししますわ…アドリー…!」


「はぁ…予想通りの展開…エルヴィスは言ったわ…『ノアといつかは決着を付けなきゃいけない』って…私達もそうなのかもね…」



話しながら矢を放つアドリーの攻撃を
躱しながら、ティアはアドリーの瞳から
自身と同じ感情を抱いていると悟る。

其の感情が伝われば伝わる程、ティアは自身
の胸の内の感情に押し潰されそうになる。

ティアの瞳がほんの少し、うるうると
涙を溜め込んで居るのを目に映したアドリー
は唇を噛んで一瞬、目を背ける。



「…ずっと一緒だと思っていましたわ…でも…わたくしが弱くてはノアに迷惑が掛かります…!!」



ティアは特性泡沫のチカラで二人に分身
すると二本の三叉槍から激しい水流を放つ。

其れをアドリーが放った二本の矢が貫き
二つの流水の渦が凍結し、部屋に氷の蛇の
胴の様な造形が創り出される。

其の氷の蛇の胴に板ごと乗ったアドリーは
勢い良く其処を滑り降りてティアの前に
降り立つと分身体を氷の矢で射抜く。

そして、本体のティアの喉元に弓を
突きつけ、動きをピタッと止める。



「…はぁ…ずっと一緒か…。私もそれを信じて疑わなかった…私達は何年も四人・・で居たもんね…!」



ほんの少しだけアドリーが過去を思い浮かべ
小さく笑みをティアに見せつける。

ティアは其れを見て一滴だけ涙を流して
其処からは必死に涙を堪えていた。

アドリーもトドメは刺さる。

だが、其処からの一歩が踏み出せない。

指先が震え手にする弓が揺れて居るのを
見たティアは優しく三叉槍を振り上げると
アドリーの氷の弓を弾き、仕切り直す。



「…わたくし、今死を覚悟しました…」


「…はぁ…お情けよ…私の方が強いわ…姫の居場所を吐いて…此の場から去って…!」


「…シェリー様こそ、今ノアを始めとしたわたくし達、革命軍が掲げる夢への架け橋…其の方を売るなんて事は…ノアへの冒涜でしかありませんわ…!」


「はあ…本当、昔から頑固な所あるわよね…ティアって…」



呆れた様に笑ったアドリーに今度はティアも
笑顔で応えるが、十年前から其の笑顔の意味
は変わってしまったのだろう。

二人はもう此処からは退けないと。

戦いの運命からは逃げられないと悟る。

重く苦しい心の内の“本音”に潰されそうに
なっては言葉に起こさず抗い続ける。

まだ全ての決心が付いた訳では無い。

だが何方も“友人”だった相手の死の十字架を
背負って行く覚悟の枠組みが出来つつある。

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