RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三篇第二章 一脈の幕間

帝国の猛者達

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また場所は変わって風の街ヴェントの本町。

帝国軍第十一支部に一人の男が訪れていた。

其れを出迎える中性的な見た目の
深緑色の髪の青年が訪れた男に向かって
丁寧にお辞儀をして声を掛ける。



「お待ちしていました。わざわざ御足労願って申し訳ありません。ドーマン少将」


「そんな深々と礼など勿体ありません。此度は微力ながら拙者も力添えさせて頂きます、アレス少将」



お辞儀をした中性的な見た目の青年に
応えたのは光の街でロードを辻斬り事件の
犯人と勘違いし追い掛けたドーマン少将。

そしてドーマンを招集したのが目の前の
深緑色の巻毛が特徴の青年で此の風の街の
守護将官、帝国第十一支部のアレスだった。



「時にアレス少将。ヨ、ヨハネ中将はもうお着きになられているのか?」


「珍しいな。ドーマン少将でも緊張される事があるんですね…」


「拙者の様な落ちこぼれと違い、上流貴族から才覚を発揮し、中将にまで登り詰められた御方だからな…や、やはり緊張はするという物…」


「ドーマン少将が落ちこぼれだなんて…自信無くすからやめてくださいよ…」



ヨハネという中将の話で緊張感を漂わせた
ドーマンの言葉にアレスは狼狽えた表情で
言葉を返しながら、わたわたとしていた。



「…因みに、まだ着いていません。夕刻には来られるそうなので…合流次第、ロジャーズグリフへと向かいます…ああ…僕も何だか緊張してきた…」


「アレス少将は二年前までヨハネ中将の支部に居たのだろう?其れも准将だったアレス殿を少将に推薦したのもヨハネ中将と聞く。仲が良いのかと思っていたが…」



ドーマンの発言にアレスの血の気が引いて
どんどん青くなって行くと沈黙の末、頭を
抱えてブツブツと話し始める。



「な、仲が良いなんてとんでもない…あの人は自信家な上に完璧主義…僕とは真逆ですよ…」


「それでも認められたから推薦されたのでは…?」


「そ、そんな馬鹿な…!な、何か裏があるに違いない…あ。少し今自信が持てた…僕にしては珍しい…」



ドーマンはアレスのネガティヴさに少し
呆れた表情を見せるが、目の前のアレスは
後ろ向きな性格でも帝国軍の入隊試験に
一度で合格した、言わばエリート組。

対するドーマンは入隊試験を受けられる
十五の歳にアレス等と同様に試験を受けるが
其の時は不合格、三度の不合格を重ねて
四度目でやっと合格した苦労人だ。

自身を落ちこぼれと表現するのも
解らなくも無いが、其のエリート組が
此の調子では、また改めて自信を喪失
しそうになり肩を落とすドーマンであった。

帝国軍も戦力を整えて風の街の
ロジャーズグリフへと向かう。

此の夜三つ巴の戦乱の幕が
静かに開けられようとしていた。
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