RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三篇第二章 一脈の幕間

息子が憧れるヒーロー

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「やっぱり、アイツ酷ェんだよ…兄貴ィ…ぶっ殺してくれよォ…!」



存在を忘れられて悲しみの涙が止まらない
マスタングは後ろに居た一回り大きな男に
泣き付くと兄貴と呼ばれた男が前に出る。

同じ様な筋肉にタンクトップ、ジーパンと
正直マスタングとの差を顔以外で見つけろと
言われると困る様な男は拳を鳴らして
ロードを睨み付けて笑みを浮かべる。



「オイオイ、ウチの下の者が泣いてんよ、兄ちゃん。どう落とし前付けんだ?あ?」


「いやいや。そこのマス…マス…筋肉バカAの事なんて知らねぇっての」


「いや、思い出すの諦めんなっ!!マスタングさんだゴラァ!!」


「もういいだろ。兄貴のアンタが筋肉バカBで、後ろの泣きべそ書いてんのがAでさ」


「いい訳あるかァ!せめてワーブルの兄貴がAだろうがーーーッ!!」



何やらぎゃーぎゃーとツッコミが収まらない
AでもBでも無いモブ達の言葉にロードは
溜息を漏らして振り返る。



「悪ィな…オッサ…んじゃなかった。ゲイツさん、本当に邪魔しちまってる」


「コイツ等、何でオメェに喧嘩売ってるんじゃ?」


「あー…何か。子供がコイツ等に大事な物取られててよ…ムカついたから追っ払ってやったんだ…」


「ほうか…オメェが…本当に真っ赤な髪じゃな…うん…」



何やらゲイツがブツブツと独り言を
言っているとロードは筋肉バカ達の元へ
緩りと歩き出すと睨みつける。



「ニャロウ共…アンタ等みてぇに子供泣かして笑ってる奴の説教なんざ…少しも響かねェんだよ…!」



殺気に当てられたワーブルとマスタング。

もとい、筋肉バカAとBとその他モブ三人は
其の後ロードの腹いせ込みの鉄拳を受けて
里の外へと吹き飛んで行った。

ふう、と息を吐いたロードは背後から
送られる拍手の音に振り返る。



「わはははッ!やるもんじゃな、良い気味じゃい、あやつ等…」


「いいよ。拍手なんて…」


「途中で気付いたからのう。昨日は息子が世話になった様じゃ、済まんかったのう。ロード君…!」



ゲイツからふと名乗っていない名前を
呼ばれたロードは首を傾げる。



「わはははッ!アンタが助けてくれたロニーって子供が…ワシの息子なんじゃ!」


「マジで!?…そういや…親子揃って似た様な事言ってんな…」



ロードはふと“立派な名前”の下りを思い出し
笑みを浮かべるとロニーから勧められた
風車の町、ロジャーズグリフが繋がって
周りを見渡して居た。



「ロニーは…何じゃか、突然髪の毛赤くしたいとか言い始めての、何の事かと聞いたらオメェの話をしてくれたんじゃ、だから名前を知っとった。オメェは息子のヒーローじゃからの…!」



其の言葉にロードは少し辛そうに
笑って口を開き、言葉を発する。



「ヒーローか…。いや、悪いけど…俺なんかにヒーローなんざ務まらねぇぜ?ゲイツさん…」



其の表情にゲイツは困り顔を浮かべる。
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