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第三篇第一章 革命家との邂逅
風の街ヴェント
しおりを挟む様々な出逢いを経て、ロード達は次なる街
風の街ヴェントへと辿り着いて居た。
風の街ヴェントにある革命軍のアジトへ
向かう道中でヴィスタから近隣の酒場町
カンピオンノールを目指すと伝えられ
一行は其の場所へと馬車の護衛に就く。
カンピオンノールの入り口に迄来ていた
ロード達の耳に何やら少年の声が飛び込む。
「返せッ…返せよッ!」
其の少年はガタイのいい男達に囲まれて
何かを獲ろうとピョンピョンと跳ねて居る。
少年の頭上をペンダントの様な物が
何度も投げられてはガタイの良い男達が
嫌な笑い方を起こしていた。
オーバーオールを着た少年は被って居た
バケットハットに顔を深く埋めると
涙ながらに声を発する。
「それ返して…母ちゃんの形見なんだ…大事なんだよッ…!!」
「売りゃあ良い金になりそうじゃねぇか。此のペンダント…お前みたいなガキには勿体ねぇよーだ…」
「俺等が有効活用してやるって…なあ、ガキんちょ?」
どうやら町の不良達にペンダントを
奪われた少年は泣きながら必死に取り返そう
としており、少年が手を伸ばすと同時に
意地の悪い不良達はまた仲間にペンダントを
投げてパスをする為に、空中に放る。
其の瞬間だった。
赤髪を靡かせて一人の青年が其の
ペンダントを横から飛び込み奪い取る。
「あ?誰だ、お前は!」
「恥ずかしいと思えよ、こんなガキ泣かせて…お前等かっこ悪ィよ…」
少年は目の前に現れた赤髪の青年ロードを
見上げて驚いた表情を浮かべる。
「マスタングさん、コイツどうします?」
不良の中でも一際ガタイの良い坊主頭の
タンクトップの男が口角を上げる。
「このお邪魔虫が。痛い目に合いたいのか…?」
「誰が痛い目に合うって?」
「ぶほっ、バカかお前は?此の町ではちょいと有名な俺様の名を言ってみろ?」
「…は?誰だ、お前…?」
ロードの言葉に何やら傷付いたらしい
不良集団達は取り繕う様に平静を取り戻す。
「おやぁ?他所者かよ。なら教えてやる。俺様の名はマスタング。見ろこの筋肉ゥ!」
「…は?何言ってんだ、コイツ?」
ロードは意味が解らず、隣に居た少年に
聞くが、少年も首を横に振る。
「マスタングさんの筋肉にビビってねーーーーーッ!!しかも知名度無かったーーッ!!」
取り巻き達が騒ぎ始めるとマスタングは
退くに退けないと言った様にマッスルポーズ
を更に強くアピールする。
「痛い目に合いたくな、ないだろ?其れをさっさと渡して立ち去れィ!此の筋肉に恐れを為してーッ!!」
「見せかけだけの筋肉バカが。これはこのガキのモンなんだろ?喧嘩売んならかかって来いよッ…」
「え、あのいや…こ、この筋肉…」
「るせぇ。くどいんだよ…筋肉バカ…」
ロードの剣幕にたじろいだ不良達は
一斉に背を向けて其処から走り去る。
「覚えとけよーッ!!?」
「…は?…何だったんだアレ。つか覚えとけって…名前何だっけ?あの筋肉バカの…」
ロードは走り去る不良達の背中を追う様に
手を伸ばすが、名前を覚えられず何故か
ほんのちょっとだけ申し訳無さを感じた。
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