RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第二編第三章 護る為の決意

人攫い屋オルゼイトファミリー

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屋敷へ堂々と踏み込んで来たのは
人攫いを生業とする街のお尋ね者集団。
マフィア・オルゼイトファミリー。

金で雇われた武装兵を入れてざっと
百人近い人間が光の街郊外の此の屋敷へと
押し掛けて来ていた。

其処へ踏み込んだのはシャーレを筆頭に
ポアラが続き、身体に鞭を打ちながら
ロードとレザノフも足を向ける。

シェリーは従者に護衛をさせて四人は
絶望とも言える兵力差の前に立つ。



「おーい。人攫いに来ましたよーっと。選択肢はふたーつ。シェリー姫の身柄を先に渡すか、あるだけの金を持ってこい!!」



オルゼイトファミリー総勢百名を指揮して
現れたスーツ姿の長髪の男が単刀直入に
用件を声に出して、要求してくる。



「流石に多すぎないっ…?これ」



其の兵力差に呆気に取られたポアラの
一言にレザノフが唇を噛んで発言する。



「私とロード君はおそらくギフトが使えないでしょう…」



ロードは、レザノフの言葉に驚愕する。

ギフトというのは本来自身の体内に流れる
波動の力を媒体に生み出される力。

自身が深い手傷を負っている状態では
波動の流れを上手くコントロール出来ず
ギフトの力を発揮しきれない。



「マジか…まあ元々扱え切れて無ェみてぇだし仕方ねぇか…」


「なら、ロードとレザノフさんは援護射撃を頼む」



ロードとレザノフに其れを言い放ったのは
青龍刀を掴んで構えたシャーレだった。

其れを見て笑みを浮かべたポアラは
腰元の帯からナックルダスターを取り出し
追随する様にシャーレの横に立つ。



「シャーレ…お前…」


「迷いは消えた。もう過去の記憶に縋り付くのは無しさ」



ロードは驚きを隠せない。

シャーレの取る行動はバルモアの人間を
“護る”行動であり、昨日の様子からは
想像すら難しい光景であった。

だが、此れ以上は野暮だと感じたのだろう。

ロードは其処で口を噤んだ。



「おーい。三つ目の其の選択肢は、地獄行きだぞ?…まあ、いい。やれ!テメェ等!」


「へい、グリッジさん!」



グリッジと呼ばれたマフィアのボスの
号令で百人の兵力が前線からシャーレ達に
押し寄せ、流れ込んで来る。



「やるよ?シャーレ」


「ああ。そろそろ私も活躍しないとな」



其れに合わせたシャーレとポアラは意を
決した様に其の大群に正面からぶつかる。

シャーレは青龍刀を使い舞踏演舞の様な
身のこなしを見せて敵をいなし、斬り裂く。

対してポアラは拳術道場で培って来た
体術を基本に鉄鋼素材のナックルダスターで
敵を穿っては吹き飛ばす。

前線二人を援護する様に入り口を護る
レザノフとロードは抜けて来た敵を
一人ずつ息を荒くしながら叩き伏せる。

また夜を迎えようかという時刻に
屋敷は乱戦の舞台となった。
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