RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
43 / 765
第一編第三章 蔓延る悪意

プレジアの情勢

しおりを挟む


「うげっ…ビールって苦いのな…」


「だはははッ!まだまだお子ちゃまの舌だなあ、ロード君」


「ニャロウ…やんのかッ!?」



初めてのビールに苦戦していたロードは
U・Jに茶化されていた。



「今日初めてあったとは思えない仲の良さですね…」


「あ、マオちゃんもそう思う?似た物同士なのよね多分、あの二人」



料理と追加のお酒を運んで来たマオと
ポアラも今日初めてなのだが、此方も既に
仲良しと言った話の交わし方をしている。



「え!?知ってますよ。ドノバンと伯盛一家を陥落させたのってロード君とシャーレ君なんですか!?」


「はは、ロードに手伝って貰ってなんとかさ」



サバネはシャーレとロードが起こした
ドノバンの一件について、シャーレと
興奮気味に話していた。

そうこうしている内にテーブルは
いつの間にやらマオが腕を奮った
手料理で埋め尽くされて行く。

夜も更けて行く中、激戦の後に目の前の
テーブルに並べられた酒と料理に舌鼓を
打つ五人を見て、暗い表情を浮かべて
出逢ったマオも笑顔に包まれる。

マオの父を含め町民を襲った“SD6”という
麻薬を売り捌いていたワグラターナの
恐怖から解放されたのだから無理もない。



「でも不思議な物だ。ロードと出逢ってから数日で反乱軍のアドラスに革命軍のアレンと言葉を交わし、帝国軍の少将とも酒を飲んでいるのだからな」


「へぇ、お前等、アイツらに会ったのか」



シャーレが溢した一言に因ってその場の
話題が塗り替えられて行く。

各々で会話を楽しんでいた一同だったが
気付けば其の話題に集中し始めた。

所謂、此のプレジア国の国家情勢の話に。



「ブラッド少将から見て、反乱軍と革命軍はどんな存在なのですか?」


「だはは、インタビューみてぇだな。記者さんよ」


「勿論、野暮な真似はしません。オフレコですよ、少将」


「そうだな…」



サバネの質問にU・Jが手元のお猪口を
傾けながら、言葉を発して行く。



「今此のプレジアは、革命軍、反乱軍、そして帝国軍。三つの軍旗を中心とした紛争の真っ只中にある」



U・Jは前置きを置いて、続ける。

革命軍とは、現在冷戦中の隣国バルモアとの
関係性を取り戻すと共に鎖国を解き、外界の
国々の文化を取り入れ、国を発展させて行き
プレジアの未来を明るくする事が目的。

対して反乱軍は、戦争に因って受けた傷が
原動力となる者が多く、革命軍のやり方では
無く、自分達の武力を持って此の国の
文化や伝統を護り続ける事を掲げている。



「結局、進む道が違うだけで、プレジアっていう故郷を守りたい。そこは一緒なんだな」


「お、ロード君は良い事言うな」



ロードの相槌となった言葉を訊いて
U・Jは自ら所属する組織、帝国軍に
ついて緩りと口を開いて行く。



「自分自身、看板背負っといてアレなんだがな。その二つと比べちゃあよ。帝国軍は迷走してるかもしれねぇな」



とっくりからお猪口に酒を注ぐと
U・Jは言葉を続けて行く。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...